アメリカのスタンフォード大学フーバー研究所研究員の郭岱君氏は16日、抗日戦争勝利80周年に関する特別講演を発表した。このイベントは長風文教基金会が主催し、風傳媒と聯経出版が共催した。講演の中で郭氏は、台湾に帰国した際に漢光演習で焦土戦の訓練を目にしたことを挙げ、「これは台湾人が望むものではない」と嘆いた。また最近の「大罷免」について「神経病的で不可解だ」と批判し、「独裁的な措置は悪質で悲しい」と述べた。
蒋介石、台湾への撤退で深い反省、アメリカと毅然とした関係構築
国共内戦の敗北で台湾に撤退した蒋介石について、郭岱君氏は、彼は深く反省し、外交と軍事は他国に依存すべきではないと考えるようになったと述べた。特に過去にアメリカを信じすぎたことが「愚かの愚か」と認識する。台湾移転後、アメリカと対等な関係を構築し、要求を拒否することもでき、独自の路線を堅持した。台湾が国際情勢で中国封じ込めの誘いに乗らないことが重要だとしている。
郭氏は、内戦敗北の教訓から、蒋介石が台湾で地方自治や土地改革などに取り組んだことは非常に難しいことだったと指摘する。今日、台湾が求めるのは安定と平和であり、繁栄した暮らしであるとし、帰国時に目にした漢光演習の焦土戦は「我々が求めるものではない」と述べた。さらに、複雑な米中関係をどのように処理するか、アメリカに操られないことが大きな試練であるという。
解決法として郭氏は、台湾は民主、自由、開放、経済繁栄を基盤に戦争を避けるべきと示唆する。歴史的、血縁的に中国と切り離すことはできないとし、教科書改正などで若者の多くがその事実を知らなくなっているが「歴史はそこにあり、消し去ることはできない」と指摘する。
郭氏は、中国の圧力を「大蛇」のような存在として例え、台湾の活動範囲が限られている状況を考慮し「運を見極め、危険を避ける」べきと強調する。両岸の関係では知恵と技術が必要であり、中国人の立場で美しい未来を語り合うことも可能だと主張する。

台湾の危機感、資源を大罷免に使うことの悲しさ
馬英九政権時代の例を挙げ、郭氏はその時の両岸関係が非常に良好で、中国大陸には台湾制圧の緊迫感がなかったことを語る。しかし、現政権は中国大陸を敵国と見なしているとして、歴史的な経験を振り返り、蒋介石とアメリカの関係について時に忍耐力を持ちつつも、国家の基本線を守った。例として、アメリカが国民軍をアメリカ式の武器で装備し、軍費で制御しようとしたが蒋介石が拒否したにもかかわらず、アメリカは台湾を見放さなかったとする。台湾の重要性が背景にあった。
郭氏は「指導者は国と国民のために全力で知恵を絞り、台湾を安全にし、戦火から守る方法を考え抜く必要がある」と懺悔する。多くの国は危機解決に全力を尽くしているが、「現政権は何をしているのか?全力で大罷免に取り組んでいる、神経病的だ!不可解だ!」と批判する。政党の罷免を例にあげ、選挙で選ばれた代表や市長には任期があり、次回選挙でその評価を下すべきだとし、「選ばれたばかりで全てを罷免しようとするのは独裁政治で、異なる意見を聞き入れない姿勢は非常に邪悪だ」と指摘する。
郭氏は、台湾の状況は非常に危うく、両岸の戦火だけでなく、南海での戦火にも影響を受ける可能性があると認める。さらに台湾の経済発展も大きな危機に直面しており、「護国の神山」にも依存できない現状がある。そして「多くのことを成し遂げる必要がある中で、全台湾の資源を大罷免に使ってしまうのは非常に残念で悲しい」と述べる。
このイベントを主催する長風文教基金会の江宜樺董事長は、8年間の抗戦は20世紀における中華民族の最重要の出来事であり、日本帝国の侵略によって中国が大きな犠牲を払い、その結果として国の運命が変わったと述べる。8年間の苦難の末にようやく勝利を迎え、「多くの人が対日抗戦に触れたくない時代にもなお、他の立場から『終戦』とする者もいるが、長風基金会としては80年後に自国の歴史に正面から向き合うべきである」と強調している。
編集:佐野華美 (関連記事: 「国民党は米国の信頼を壊している」元トランプ政権高官が異例の警告 台湾が国防を真剣に受け止めなければ、米国の支援は揺らぐ恐れ | 関連記事をもっと読む )
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