マレーシアの格安航空会社として知られるエアアジアで、乗客をあ然とさせる前代未聞の事態が発生した。14日、クアラルンプール国際空港を出発し韓国・仁川国際空港に向かうはずだった定期便が、なぜか金浦国際空港の滑走路に着陸してしまったのだ。しかも当初は、乗務していた客室乗務員でさえ状況を把握できていなかったという。
韓国紙『コリア・ヘラルド』などの報道によると、この異例の事態が起きたエアアジア機の便名はD7 506便。悪天候の影響で長時間上空を旋回した後、ようやく着陸に成功し、機長は機内アナウンスで「仁川に無事到着した」と乗客に伝えた。ところが、乗客が荷物を取り出そうと立ち上がった際、一部の人が窓の外を確認すると、そこは見慣れた仁川国際空港ではなく、ソウルのもう一つの主要ハブ空港である金浦国際空港だった。
INCHEON ❌ GIMPO ✅
— Inquirer (@inquirerdotnet)August 14, 2025
(UPDATED) AirAsia, the Malaysia-based low-cost carrier, is under fire after a flight from Kuala Lumpur International Airport landed at Gimpo International Airport instead of its scheduled destination, Incheon Airport, news reports said Thursday.
The airline,…pic.twitter.com/f5XCYWlf5M
マレーシアから夫と8歳の娘とともに帰国途中だった40代の韓国人乗客、李美賢(イ・ミヒョン)氏は当時の様子をこう振り返る。「その場は大混乱でした。客室乗務員ですら自分たちが金浦に降りたことを把握しておらず、周囲で空港に詳しい乗客が伝えてようやく分かったのです」。
首都圏の玄関口である仁川国際空港が市中心部から約50キロ離れているのに対し、金浦国際空港は西へ約15キロと近い。李氏は「乗務員は乗客同様に困惑している様子でした。機内では飲料水の提供もなく、食料もほとんど残っていなかったため、小さな子どもを連れた乗客の不満が噴出しました。なかには『いっそこのまま金浦で降ろしてほしい』と訴える人もいた」と話している。

韓国空港公社はその後、メディアの取材に対し「当時、仁川空港上空で乱気流が発生していたため、同便は金浦空港へ着陸した」と説明した。機体は給油を終えた後、約2時間の待機を経て、当日の午後10時17分に再び仁川へ向けて出発した。
エアアジアXも公式声明を発表し、転航の理由について「仁川の悪天候に加え、空域の混雑があったため」と説明。「悪天候による突発的な状況や燃料不足のリスクに直面したため、安全を最優先に金浦で給油する判断をした」と明らかにした。ベンヤミン・イスマイル最高経営責任者(CEO)は、着陸時のアナウンスが不適切だったことを謝罪し、機内での情報共有の手順を見直す方針を表明。影響を受けた乗客には善意の補償としてバウチャーを提供するとしている。
編集:柄澤南 (関連記事: 信じられない!アラスカ航空「ドア脱落」原因が明らかに:ボーイング737 MAX出荷時のボルト固定忘れ | 関連記事をもっと読む )
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