イーロン・マスク氏「アメリカ党」創設を発表 トランプ元側近バノン氏が猛反発「南アフリカに帰れ」

2025-07-07 11:10
アメリカホワイトハウス元戦略担当スティーブン・バノン氏、電信詐欺とマネーロンダリング共謀の疑い。(AP通信)
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世界一の富豪でテスラの創設者であるイーロン・マスク氏は、アメリカの独立記念日に「アメリカ党」を創立すると発表し、衝撃を与えた。この発表は、トランプ大統領の首席戦略家であったスティーブン・バノン氏の怒りを引き起こし、ポッドキャストで「アメリカ人ではない」とマスク氏を激しく非難し、彼を追放すべきだとまで発言した。両者の非難応酬には緊張感が漂っている。

マスク氏、ネット投票で「アメリカ党」創設を後押し

この出来事は、7月4日にマスク氏がX(旧Twitter)で新政党の創設を支持するかどうかを問うネット投票を行ったことから始まった。65.4%の圧倒的な支持を受けて、マスク氏は6日に「自由を取り戻すため、『アメリカ党』を創立する」と正式に発表した。

南アフリカ生まれの億万長者であるマスク氏は、すでに米国市民権を取得しているが、その政治的動向は常に注目されてきた。彼は2024年の大統領選挙期間中にトランプ氏を支持し、一時は新設された「政府効率省(Department of Government Efficiency)」の責任者にも任命されていた。しかし最終的に両者の関係は決裂した。今回、マスク氏が独自に新党を立ち上げたことで、アメリカに根強く存在する二大政党制への挑戦と受け止められており、その動機や今後の影響について各方面で憶測が広がっている。

ニュースの注釈:外国生まれの米国市民は大統領選に出馬できるか?

米国憲法によれば、大統領候補者は「自然に出生した市民」でなければならない。つまり、マスク氏のような南アフリカ生まれで後に市民権を取得した者は、大統領選には出馬できない。しかし、彼は政党を創設したり、第三者候補を支援することを通じて、米国政治に大きな影響力を持つことができ、「キングメーカー」となる可能性もある。米国では、第三者候補が必要な署名を集めれば、州の選挙に立候補できる。

バノン氏の怒り:「南アフリカに帰れ!この詐欺師!」

マスク氏の新党結成に対し、トランプ氏の最も忠実な盟友であり、極右勢力を代表する人物であるスティーブン・バノン氏が、最も激しく反応した。影響力の大きい自身のポッドキャスト番組『ウォー・ルーム(War Room)』で、バノン氏はマスク氏に対して容赦ない個人攻撃を展開。「あの道化、あの愚か者、“ムック”(Elmo the Mook)──以前はマスクと呼ばれていた」と侮蔑的な口調で語り、「こんなことをするのは外国人だけだ。アメリカ人でもない者が“アメリカ党”を作ろうなどとは」と断じた。

バノン氏の怒りはさらにエスカレートし、マスク氏の国籍と忠誠心そのものにまで疑問を投げかけた。「違う、兄弟。お前はアメリカ人じゃない。南アフリカ人だ。我々が少しでも事実を確認する努力をすれば、お前を国外追放にすべきだと分かるはずだ。なぜなら、お前のしていることはすべて犯罪だからだ」と語気を強めた。