SNS上で「7月5日に日本を巨大地震が襲う」との予言が拡散され、注目を集めている。発端は日本の漫画家・たつき諒氏が描いた作品内の記述であり、鹿児島県・トカラ列島周辺で6月21日以降、1,000回を超える地震が観測されていることも相まって、不安が広がっている。台湾メディア『TVBS』は、こうした懸念について地震の専門家に取材し、冷静な分析を報じた。
M8以上で津波のリスク、だが発生確率は極めて低い
台湾の地震研究者・郭鎧紋(かく・がいもん)氏は、「津波が発生するにはマグニチュード8以上の地震である必要がある」と前置きしたうえで、米国地質調査所(USGS)の観測データに基づき、「7月5日にM8地震が発生する確率は0.22%、M9に至ってはわずか0.01%にすぎない」と述べた。
M6〜7クラスの中規模地震には注意
さらに郭氏は、USGSの長期地震モデルを用いて、7月5日に発生する地震の規模別確率を以下のように分析している。
M7の地震:3.41%
M6.0〜6.9の中規模地震:32.91%
最も懸念されるM9クラスの大地震については、「ほぼゼロに近い確率」としており、科学的根拠に基づいた冷静な見解を示している。
台湾にも影響?津波が及ぶ可能性は?
台湾への影響について郭氏は、沖縄トラフや琉球海溝で強い地震が発生した場合、海域の水深が深いため津波が高速で広がる可能性を指摘。一方で、「琉球海溝から台湾東部・花蓮への到達リスクは低い」としつつも、「震源が宜蘭沖に近い場合は、浅海で地形が波を集中させやすく、リスクが高まる可能性がある」と注意を促した。ただし、「現在のところ沖縄トラフは比較的安定しており、琉球海溝および南海トラフ付近に注意が必要」と述べている。
大地震の「前兆」は現れているのか?
郭氏によれば、過去の統計から「M8以上の大地震のうち65%以上が、発生前1か月以内にM7クラスの前震を伴っていた」という。直近でM7以上の地震が観測されたのは、5月2日の南極と南米の間に位置するドレーク海峡であり、すでに2か月が経過していることから、「7月5日に巨大地震が発生する可能性は低い」との見方を示している。 (関連記事: 7月5日の大地震が日本と台湾を壊滅させる?チェックセンターが科学で「終末予言」を検証 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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