舞台裏》妻の訃報に法廷で崩れ落ちた元副市長・彭振聲氏 民眾党が全面支援へ

2025-07-03 12:19
台北市元副市長・彭振聲氏の妻の事件が京華城事件に影響を与える可能性があり、民衆党主席の黄国昌氏(写真)は危機管理に乗り出した。(写真/顏麟宇撮影)
目次

台湾・民眾党前主席の柯文哲氏や威京グループ主席の沈慶京氏らが関与する京華城事件は、現在、裁判での攻防段階に入っている。2025年7月1日午前、台北市の元副市長である彭振聲氏は、裁判で証拠として提出される予定の光ディスクの検証に出廷することになっていたが、突如として妻が自ら命を絶ったとの知らせを受けた。彭氏は法廷内で激しく泣き叫び、「生きていたくない」「私は冤罪だ。なぜ国家はこのようなことになったのか」と崩れ落ち、政界に衝撃を与えたのである。

これに対し、民眾党は声明を発表し、彭氏の今後の対応に全力で支援を行い、司法における潔白の主張を支持すると表明した。民眾党主席の黃國昌氏もまた、検察官が一人の命を追い詰めたとして強く非難し、「あなたたちに心はないのか」と訴えた。事情に詳しい関係者によれば、黃氏は事件発生の直後、支援の名のもとに2名の関係者に連絡を取っていたという。

20250401-前台北市副市長彭振聲1日出庭應訊。(顏麟宇攝)
彭振聲は法廷で妻の訃報を受け、崩壊して「私は冤罪だ」と叫び、政界に衝撃を与えた。(資料写真:顏麟宇撮影)

妻自殺で泣き崩れる彭振聲 民衆党が危機管理開始

関係者によれば、民眾党がいう「後続対応の支援」とは、彭氏の家族の意向を尊重したうえで、必要な資源を提供し、できる限り寄り添うことを指している。家族の要望に応じるだけでなく、党本部や地方党部も積極的に支援の必要があるかどうか確認する方針である。

なによりも、民眾党の秘書長・周榆修氏をはじめ、多くの幹部やスタッフがかつて台北市政府で彭振聲氏と共に働いた経歴を持ち、同僚としての情誼も深い。こうした関係を背景に、陪伴を通じて彭氏の家族の心情を慰めたい意向である。

また、妻の死去の報に接した後、悲嘆に暮れた彭氏は民眾党関係者に対し、妻がうつ病を患っていたこと、また母親も高齢であったため、家族にこれ以上の不安をかけたくないという思いから検察に自ら罪を認めたことを打ち明けたという。
それでも彭氏は、検察や調査当局の尋問、法廷での攻防において、一度も柯文哲氏を非難したり、柯氏から指示を受けたと述べたことはないと明言している。

20200608-台北市副市長彭振聲(左)8日於議會備詢。(顏麟宇攝)
彭振聲氏(左)は民衆党の人物に、罪を認めたが柯文哲氏(右)を非難したことはないと述べた。(資料写真,顏麟宇撮影)

彭振聲の泣き崩れる現場で黄国昌が下した3つの決断

関係者によれば、2025年7月1日午前に彭振聲氏が法廷で号泣した際、同席していた黃國昌氏は即座に三つの決断を下したという。

第一に、直ちに民眾党中央党部および高雄市党部の関係者に状況把握と彭氏の家族支援を依頼した。そのため、彭氏が左営の高鉄駅に到着した際には、党の高雄市党部幹部である二人の「護衛役」が同行し、メディアを回避しながら彭氏の移動をサポートした。また、葬儀に関しても党関係者やボランティアが同行し支援を行っている。

第二に、黃國昌氏は直ちに彭氏の長男であり高雄科技大学財税学科の副教授である彭琪祿氏に連絡を取った。黃氏は彭振聲氏本人とは面識がないものの、いち早く家族に思いを伝えたいとの思いから、党内で台北市政府に勤務経験のある関係者を通じて彭琪祿氏に連絡を取った。黃氏は、彭家族の支援に全力を尽くすことを伝えるとともに、彭氏の父親を大切にしてほしいと呼びかけたという。