高額の対等関税に対する90日間の猶予期間がまもなく終了し、新台湾ドルの上昇圧力が企業を取り巻く中、メーカー各社の先行き見通しは慎重さを増している。台湾経済研究院が本日発表した6月の季節調整済み製造業購買担当者指数(PMI)は、前月比1.4ポイント低下の49.6%となり、再び景気の縮小を示した。
製造業の将来の展望は慎重、3か月連続の収縮
台湾経済研究院は、米国による高額対等関税の猶予期限が近づく中、納期や海運の不確実性を考慮し、製造業の受注と生産が慎重になっていると指摘した。6月の季節調整済みの新規受注指数は3か月連続で縮小を示し、2024年4月以来の最速の縮小ペースに落ち込んだ。生産指数は1か月間のみ拡大を維持した後、再び縮小に転じている。
同研究院の副院長、王健全氏は「対等関税の猶予期間終了、サプライチェーンの移転、新台湾ドルの上昇などが企業の経営不確実性を高めている」と述べ、6月の製造業の先行き期待指数は1.1ポイント低下の39.8%となり、3か月連続の縮小を記録した。
また、同研究院経済研究所の研究員、簡錦漢氏は「輸出製品の多くは海運に依存しており、5月の出荷は一段落した。6月の関連指標は軒並み低下し、多くの産業で先行き見通しが縮小傾向にある」と分析する一方、「ただしAI関連の需要は依然として非常に強く、最終需要および応用分野が顕在化している。強固な需要は継続しており、来年にかけてさらに活況を呈すると期待できる」と述べている。
業界は新台湾ドルの上昇を「不可逆的」と認識
今回の新台湾ドルの急激な上昇は輸出企業の利益を圧迫している。中華購買・供給管理協会の顧問、白宗城氏は「大荒れの環境の中で、一部の大手企業は動じないが、中小企業は『脚が短い』ために『水深が深く』なり、経営は一層厳しくなっている」と表現した。
白宗城氏は業界の見方について「今回の新台湾ドルの上昇は『元には戻らない』との見方が一般的である」としたうえで、「台湾企業は非常に強靭であり、大企業から中小企業まで積極的に為替リスクを評価し、次の段階の対策を講じている。『いつまでもやられっぱなしにはできない』という姿勢だ」と語った。
台湾は小さな市場、中央銀行の適度な調整は妥当
王健全氏は、トランプ政権の次の貿易交渉では非関税障壁が重点課題となり、為替問題もその中に含まれると考えている。台湾の輸出は好調で、新台湾ドルは今年非常に強含みである。韓国ウォンや日本円の上昇が遅れているのは、韓国で大統領選挙が終了したばかりであることや、日本で国会選挙が控えていることが為替の動きを一時的に抑えているためであるが、「日円や韓国ウォンが上昇しないとは信じられない」と述べた。
また、最近の中央銀行による為替調整の強化が効果的かどうかという報道について、王氏は「現在は米台間の関税交渉の最中であり、為替問題は非常に敏感なテーマである。ただ、台湾は浅い市場で為替が変動しやすいため、中央銀行が適度に介入することには合理性がある」と指摘した。
NVIDIA、台北進出 NMI指数を引き続き押し上げる
台湾経済研究院は本日、6月の非製造業購買担当者指数(NMI)を同時に発表した。株式市場の回復や、国際的な大手IT企業の台北市北士林科学園区(北士科)への進出が高級オフィス需要を押し上げ、6月のNMI指数は前月比2.4ポイント上昇の54.3%となった。
しかし、夏季休暇や大型セールの618イベント、自動車販売の繁忙期を迎えたにもかかわらず、一部産業では旺盛な需要が見られず、厳しい状況が続いている。加えて、マクロ経済の不透明感や消費者の慎重な動きもあり、今後6か月の展望指数はわずか0.3ポイント上昇の40.3%にとどまり、4か月連続で縮小基調が続いている。
編集:柄澤南
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