国際シンクタンク「経済・平和研究所(IEP)」がこのほど発表した2025年版「グローバル・ピース・インデックス(GPI)」によると、アイスランドが17年連続で世界で最も平和な国に選ばれた。一方、ロシアは最下位という結果だった。台湾は全163カ国・地域の中で第40位に入り、アメリカ(第128位)よりはるかに高い評価を得た。
世界「最も平和な国」ランキング公開
この指数は、社会の安全と治安、国内外の紛争の継続状況、軍事化の程度という3つの主要分野に基づき、23の指標をスコア化して算出されている。スコアは1から5までで、数字が小さいほど平和度が高いとされる。2025年は世界全体の平均平和度が前年より0.36%低下したが、上位の10カ国は依然として高い水準を維持した。
アジア太平洋地域ではシンガポール、日本、台湾が上位に
アジア太平洋地域では、シンガポールが1.357ポイントで世界第6位に入り、東南アジアで最も平和な国となった。日本は1.44ポイントで第12位。台湾は中国の圧力を受けながらも1.73ポイントで第40位にランクインし、韓国(第41位)、中国(第98位)を上回る結果となった。
アメリカは1.976ポイントで第128位となり、南アフリカ、ジンバブエ、インドといった国々よりも下位に位置づけられた。それでもアメリカは移民先として依然人気が高く、世界で最も選ばれる国の一つであることには変わりない。
2025年、安全な国トップ10と最も危険な国トップ10
GPIによると、世界で最も安全な10カ国は、アイスランド、アイルランド、ニュージーランド、オーストリア、スイス、シンガポール、ポルトガル、デンマーク、スロベニア、フィンランドの順だった。
一方、最も安全でない国は、ロシア、ウクライナ、スーダン、コンゴ民主共和国、イエメン、アフガニスタン、シリア、南スーダン、イスラエル、マリの10カ国だった。
アイスランド、17年連続で首位に
アイスランドは「継続的な紛争」分野で満点を獲得し、他の2分野でも高スコアを維持。これにより、国内外の紛争に関与せず、犯罪率の低さや軍事化の最小化、社会的信頼の高さが改めて評価された。
さらに、2025年の「安全と治安」部門でもアイスランドが世界第1位だった。 第2位から第5位は、それぞれノルウェー、フィンランド、日本、シンガポールがランクインしている。
世界全体の平和度は悪化傾向、紛争の前兆も過去最悪に
GPIはまた、世界全体の平和度が年々悪化していることも示している。特に紛争の前兆条件は第二次世界大戦以来で最悪とされ、過去10年間で100カ国以上が平和度を落としている。2024年には59件の国家基盤紛争が進行中で、これは第二次大戦後最多。さらに、17カ国では国内紛争により1,000人以上が死亡し、18カ国では死者が100人を超えた。
同年には15万2,000人が紛争により命を落とし、紛争の国際化も進んでいる。78カ国が海外の紛争に巻き込まれており、暴力による経済損失は19.97兆ドル(約3,155兆円)にのぼった。このうち、軍事支出は2.7兆ドル(約426兆円)を占め、世界GDPの11.6%に相当する。
このようなデータは、今後さらなる紛争リスクの増加を示唆しており、特に中規模国家や新興国による独自外交、非対称戦争技術の進化、そして高負債を抱える経済の脆弱性が世界秩序を再編する要因となっている。
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