米下院「台湾差別禁止法案」台湾のIMF加盟を支持 専門家:国際地位の向上と「これらの利点」も

2025-06-28 09:39
国際通貨基金(IMF)専務理事クリスタリナ・ゲオルギエバ(Kristalina Georgieva、左)、2025年IMF春季会合に出席(IMFフェイスブックより)
国際通貨基金(IMF)専務理事クリスタリナ・ゲオルギエバ(Kristalina Georgieva、左)、2025年IMF春季会合に出席(IMFフェイスブックより)
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米国連邦下院は6月23日、「台湾非差別法案」を全会一致で可決し、国際通貨基金(IMF)への台湾加入を強力に支持することを明確に示した。この法案は、中国が関税などを通じて台湾の金融システムを破壊する行為に対抗し、台湾の金融安全と国際参加への米国の堅固な支持を強調している。

この法案の意義と台湾のIMF加入の利点と欠点を深く探るために、風傳媒は台湾金融研訓院の主任陳鴻達氏と研究員陳緹珍氏にインタビューを行い、法案の進展、台湾とIMFの関係史、そして台湾加入の戦略的価値と推進戦略について深い議論を行った。

米国がIMFで否決権を保持する中、SDRが金融支配権の本質を示す

風傳媒の観察では、過去の親台湾法案は議会を順調に通過することが多かったが、真の変数となるのは大統領の署名である。しかし、陳鴻達氏は、世界保健機関(WHO)が「金を使う機関」であるのに対し、IMFは金融権力と関連し、米国にとってより魅力的であり、台湾に対する交渉材料となる可能性を指摘した。これにより、IMFは大統領が戦略的交渉材料として操作できる要因となり、法案推進の可能性がより実現可能であるとされた。

IMFの公式サイトによれば、米国はIMFで約16.49%の投票権を持っており、事実上の否決権を持つ唯一の加盟国である。重要政策には85%以上の賛成が必要であるため、米国は単独で重要な政策を否決できるのだ。これが「台湾非差別法案」による政治的信号が重要である理由の一つであり、米国が明確に支持を表明することで、IMF内部の雰囲気と力学に本質的な変化をもたらすと見られる。

20250626-SMG0035_A「不歧視台灣法案」核心條文與立法進度

さらに米国の影響力を理解するには、IMFの国際準備資産である特別引出権(SDR)についても触れざるを得ない。SDRは実体通貨ではないが、その価値は5つの主要国際通貨の加重平均から成り、現在はドル・ユーロ・人民元・円・ポンドで構成される。2022年8月からの最新の割合によれば、米国ドルのウェイトは43.38%であり、通貨バスケットの中で主導的であり、世界金融覇権体制を反映している。

IMF SDR通貨バスケットウェイト

  • ドル: 43.38%
  • ユーロ: 29.31%
  • 人民元: 12.28%
  • 円: 7.59%
  • ポンド: 7.44%

備考: 2022年8月1日から有効 
資料提供: IMF

注目すべきは、SDRはIMFの評価と割り当て単位であることだ。各加盟国の「クオータ」は、IMFの投票権、資金の責任、受益度合いを決めるものであり、SDRを基に計算されている。2021年に実施された新型コロナウイルス対策の大規模SDR配分は、各メンバー国のクオータに基づいてリソースが分配された。このため、米国のように最大のクオータを持つ国は、リソース分配、ルール設定、ペースの主導において圧倒的な優位を占める。 (関連記事: イラン最高指導者が1週間行方不明!ハメネイ氏の生死は不明、停戦後のテヘランで「権力空白」危機が発生 関連記事をもっと読む

言い換えれば、SDRの通貨バスケットのウェイトは国際通貨力の象徴であり、この力は最終的にIMF内の発言権と拒否権に転化される。台湾がIMFに加入を目指すにあたり、真に突破すべきは手続きの技術的ハードルではなく、大国が制度設計において持つ政治的構造と金融の話権である。これこそが「台湾非差別法案」が初めて明確に狙いを定めた核心である。

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