「台湾文化は“食”だけじゃない」──中野で開催、台湾文化祭2025の主催者・呉廷中氏インタビュー

2025-06-28 14:14
主催者・呉廷中さん。「台湾文化祭2025」が7月4〜6日、東京・中野区役所で開催。本物の台湾文化を食・音楽・映像・デザインなど多角的に紹介するイベントとして、今年は規模を拡大してリニューアル。(写真/黃信維撮影)
主催者・呉廷中さん。「台湾文化祭2025」が7月4〜6日、東京・中野区役所で開催。本物の台湾文化を食・音楽・映像・デザインなど多角的に紹介するイベントとして、今年は規模を拡大してリニューアル。(写真/黃信維撮影)

「本物の台湾文化を日本で伝えたい」。そんな思いから始まったイベント「台湾文化祭2025」が、7月4日から6日まで東京・中野区で開催される。主催は株式会社トモトモ。これまで3年間は東京駅構内で実施されてきたが、今年は会場を中野区役所の屋内外スペースに移し、規模を拡大してリニューアルされる。主催者の呉廷中さんは「食だけではなく、音楽や映像、デザインなど、多角的に台湾文化を体感できる場にしたい」と語る。

主催者・呉廷中氏。「台湾文化祭2025」が7月4〜6日、東京・中野区役所で開催。本物の台湾文化を食・音楽・映像・デザインなど多角的に紹介するイベントとして、今年は規模を拡大してリニューアル。(写真/黃信維撮影)
主催者・呉廷中さん。「台湾文化祭2025」が7月4〜6日、東京・中野区役所で開催。本物の台湾文化を食・音楽・映像・デザインなど多角的に紹介するイベントとして、今年は規模を拡大してリニューアル。(写真/黃信維撮影)

呉さんによれば、これまでの台湾イベントは飲食を中心に展開されるものが多く、文化面は軽視されがちだったという。「もちろん“食”も大切だが、それだけでは台湾の魅力は伝わらない。自分の裁量で決められるイベントをつくることで、文化的な側面もしっかり発信したいと考えた」と話す。

今年は中野区役所の新施設「ナカノバ+ソトニワ」が舞台。中野区との連携が進み、区長や議員からの後援も得て、地域とのつながりも強化された。「多文化共生を掲げる中野区にふさわしいイベントになったと思う」と手応えを語る。

イベントは屋外「ソトニワ」と屋内「ナカノバ」の2会場で構成される。屋外エリアでは、魯肉飯で有名な五燈獎、台湾甜商店のタピオカドリンク、洪瑞珍のサンドイッチ、台虎精釀のクラフトビールなど、台湾を代表する飲食ブランドが出店予定。「在日台湾人が日本の友人を連れて来てくれたら最高。共に台湾の魅力を紹介してくれることで、より深い交流が生まれる」と呉さんは期待を込める。

屋内ステージでは台湾映画2作品の上映、台湾から招かれたアーティストのライブ、日本人団体による公演、中国語講座や台湾旅行トークなど、文化講座も充実。「この室内スペースだけでも、台湾文化のエッセンスを凝縮した内容になっている」と胸を張る。

準備段階では、新たな屋外販売に伴う保健所申請、保険手配、地域との調整、予算管理といった課題もあった。「予算と理想の間で毎回悩むが、妥協せずにクオリティを保ちたい」と呉氏は語る。

すでに来年以降の開催も決定しており、2026年には「四季の森公園」へ会場を拡大し、出店数も現在の20から50以上に増やす構想がある。さらに中野区との共催体制や地域企業、銀行、台湾の公的機関との連携も強化していく方針だ。

また、呉さんは台湾と日本のアーティスト交流を促進する音楽イベント「East Echo(イースト・エコー)」も主宰。今年5月には第1回公演を渋谷で開催し、7月7日には新代田のLive House Feverで第2回目の開催を予定している。「将来的には2日間の音楽フェスに育てたい。そして、台湾文化祭と融合させた“食と音楽の複合フェス”を目指している」と展望を語る。

最後に、「文化の正確な伝達には“質”が不可欠。出店者や出演者の選定にもこだわっている。台湾文化を本気で日本に届けたい人、ブランド、団体と一緒にやっていきたい」と述べ、「資金、コンテンツ、販路、どんな形でもいいのでぜひ相談してほしい」と呼びかけた。

「公式サイトやInstagram、メールを通じて気軽に連絡を取ってほしい」「一緒に、日本における台湾文化発信の拠点をつくりましょう」と締めくくった。

編集:田中佳奈 

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