戦果か誇張か──イラン核施設攻撃を巡るCIAと軍の深い溝

2025-06-27 13:22
Maxar Technologies提供のこの衛星画像は、2025年6月22日にイスファハン核施設が米軍の空襲を受けた後の被害状況を示しています。(AP通信)
Maxar Technologies提供のこの衛星画像は、2025年6月22日にイスファハン核施設が米軍の空襲を受けた後の被害状況を示しています。(AP通信)
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イランの核施設に対する米軍の空爆が、ワシントンで前例のない政治的緊張と情報機関内の対立を引き起こしている。トランプ大統領は、攻撃によりイランの核施設が「完全に破壊された」と主張したが、この見解は国防情報局(DIA)の初期評価とは一致していない。

こうした見解の食い違いに対応する形で、CIA長官のラトクリフ氏は25日、新たな評価を発表し、空爆が「重大な損害を与えた」と述べ、大統領の主張を支持する立場を取った。

一つの空爆、二つの解釈:CIAと軍情報機関のロシアンルーレット

イラン核施設への空爆をめぐって、アメリカ政府内で評価が真っ二つに割れた。ホワイトハウスが「戦果」を強調する一方で、複数の情報機関では、その内容に対する深い意見の相違が表面化している。このズレは、政治的プロパガンダのために機密情報が誇張あるいは歪曲されたのではないかという外部の疑念も呼び起こした。

発端となったのは、空爆からわずか24時間後に国防情報局(DIA)がまとめた初期評価報告だった。報告内容を確認した複数の関係者によると、トランプ大統領が述べたような「完全破壊」には到底届かず、結論はより抑制的だったという。報告では、三つの核施設が「中度から重大な損害」を受けたと評価されたが、イランの核計画の進行は「数か月遅延する」にとどまり、長期的な打撃とは言いがたいとされていた。

なかでも、山中深くに位置するフォルドの核施設は特に注目された。仮に損害が中程度であれば、イラン側が再建を断念する可能性があるとの見方が示されたものの、既に一部の遠心分離機は他の場所へ移されており、イランが簡易型核兵器を数か月以内に製造できる余地があるという分析も存在している。

DIAの報告では、評価の「確信度は低い」と明記されており、情報がまだ初期段階であることから不確実性の高さが強調されていた。この報告が米国内で報道されると、トランプ大統領の「完全破壊」発言とのギャップが明るみに出て、大きな波紋を広げた。

こうした疑念に直面したホワイトハウスとCIAはすぐに反撃に動いた。CIA長官のラトクリフ氏は25日、DIAの報告を「古い」と批判し、CIAの方がより新しく信頼できる情報を保持していると主張。いくつかの核関連施設は「破壊された」とし、復旧には「数年を要する」とする新たな評価を提示した。ラトクリフ氏は、CIAの分析が「歴史的に信頼されてきた情報源と方法」に基づくものであると強調した。

さらに国家情報長官のギャバード氏もSNSでCIAの評価に同調し、「最新の情報によれば、イランの三つの核拠点はいずれも再建には数年を要する」と述べた。 (関連記事: 米国に激震!イラン最高指導者「核施設無傷」と反論、FBIが情報漏洩の出所調査 関連記事をもっと読む

情報に潜む政治的駆け引き:議会の疑念とホワイトハウスの弁護

情報評価をめぐる食い違いは、米議会内にも波紋を広げている。上院情報委員会の首席民主党議員であるマーク・ウォーナー氏は公聴会で、ホワイトハウスの強硬な発言と実際の情報内容との間にある乖離について、政府関係者に説明を求めた。ウォーナー氏は「政治的主張を補強するために、情報が繰り返し操作され、美化されるという構図は深刻な懸念を呼ぶ」と述べ、「この道がどこに行き着くか、私たちは過去に学んでいる」と警告した。

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