イラン核施設空爆後の停戦合意 中東の脅威は本当に終わったのか?

2025-06-25 13:25
2025年6月21日、米国大統領トランプがホワイトハウスで演説を行い、イランでの軍事爆撃について説明した。(AP通信)
2025年6月21日、米国大統領トランプがホワイトハウスで演説を行い、イランでの軍事爆撃について説明した。(AP通信)
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ユダヤ系アメリカ人のロス・ファインゴールド氏は、イスラエル国内においてガザ地区への進攻を継続すべきかどうかについては、国民の間で意見が分かれていると指摘する。一方で、イランの核施設に対する攻撃については、大多数のイスラエル国民が政府の対応を強く支持しているとの見方を示した。

米東部時間の23日夜、アメリカのトランプ大統領がSNSを通じて、イスラエルとイランが全面的な停戦に合意し、10日以上続いた武力衝突が終結したと突然発表した。これに対し、現地からはその後もさまざまな情報が飛び交ったものの、両国は台湾時間24日に停戦を受け入れる意向を表明し、国際社会に大きな衝撃を与えた。中東で新たに勃発した今回の衝突が、果たしていつ終息に向かうのか、各国の注視が続いている。

アメリカは当初、戦闘に加わる姿勢を見せなかったものの、その後イランの3カ所の核施設を爆撃し、逆に中東に駐留する米軍基地がイラン側から攻撃を受ける事態となった。その一方で、カタールと共に停戦交渉に乗り出すなど、米国の対応は一貫性を欠き、その動機や戦略には複雑な思惑が絡んでいる。台湾を拠点にアジア各地で活動し、法律家としても知られるアメリカの中東専門家・ファインゴールド氏は、《風傳媒》の取材に対し、イラン、イスラエル、そしてアメリカの三者の立場を読み解きつつ、中東情勢の今後について展望を語った。

双方に停戦の動機

アメリカ共和党アジア太平洋地域前副議長で国際政治評論家のロス・ファインゴールド(Ross Darrell Feingold)弁護士は《風傳媒》に対し、アメリカとカタールの調停の下、イスラエルとイランが達成した停戦の効果について、現状ではまだ観察が必要だと述べた。「もちろん私たちは長期的な停戦を望んでいるが、短期的なものである可能性も否定できない。」

ファインゴールド氏は、2023年10月にパレスチナの武装組織「ハマス」がイスラエルを攻撃して以来、イスラエルがハマスやレバノンのヒズボラと一時的に停戦することが何度かあったが、その後破棄され再び戦闘が続いたと解釈している。しかしその後、イスラエルはヒズボラや他の方面といくつかの停戦協定を結び、現在は維持されている。今後イランとイスラエルの間での停戦が続くかどうかはまだわからず、「私たちは推測するしかない」と述べた。

ファインゴールド氏は、イスラエルとイランの双方にとって停戦を実行する動機があると考えている。イスラエルにとって、加えて、ガザ地区でハマスと戦っている間に二つの戦場を開くことは、イスラエル軍にとっても非常に大きな負担であり、「財力だけでなく、人力と武器に対しても大きな負担となる」と述べた。このため、イスラエルはイランとの停戦状態を維持する動機があると考えられる。 (関連記事: トランプ氏、イスラエルとイランの停戦を宣言!イランが米軍に攻撃通知の「奇策」も浮上 関連記事をもっと読む

イランの視点から見ると、ファインゴールド氏は指摘し、外部からはイランが軍事的にイスラエルに敗北したと推定される。したがって、イランの視点から言えば、もしイスラエルがイランを攻撃し続けた場合、イランの状況はより悪化するため、イランも停戦を維持する動機があると言える。

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