コメ不足の背景に何が?郭正亮氏が分析する5つの要因と米国の不満

2025-06-25 17:33
日本国内で白米の供給不足と価格高騰が社会問題となっている。(AP通信)
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日本では昨年夏以降、コメの価格が急騰しており、消費者からは悲鳴が上がっている。背景には供給不足があり、事態は深刻さを増している。台湾の元立法委員で政治評論家の郭正亮氏は、自身のインターネット番組『亮友問答』で、日本のコメ不足について5つの主要因を挙げ、「今回のコメ不足は非常に複雑な問題だ」と指摘した。

異常気象から政策・貿易まで 複合的な要因

郭氏によると、第1の要因は2023年から2024年にかけての異常気象だ。梅雨入りの遅れや長期の干ばつ、記録的な高温が続いたことで稲の収穫量が大きく減少し、北海道や東北地方などの主産地で減産が相次いだという。

第2の要因としては、日本の農村部における高齢化が進行し、農業従事者の平均年齢は67歳に達していることを挙げた。若年層の農業継承意欲は低く、耕作放棄地も増加。農地の一部は非農業用途に転用されており、稲作面積が初めて減少に転じた。

第3の要因は、日本政府の農業政策がトウモロコシや大豆など他の作物に偏重しており、結果として食用米の生産が後回しにされている点を挙げた。

また、第4の要因として、日本のコメ市場が厳しく保護されており、米国は日本のコメ輸入に対する関税が700%に達するとして不満を表明していると述べた。これにより、輸入米の量が大幅に減少している。

第5の要因は、需要の回復だ。新型コロナウイルス収束後、外食需要が急回復し、業務用米の需要が増大している。

気候、構造、政策、貿易が交錯する複雑な背景

​郭氏は、「今回のコメ不足は単一の原因ではなく、気候条件の悪化や農業人口の高齢化、農地転用、政策の方向性、そして貿易の制限措置など、複数の要素が重なっている」と分析。特にコロナ禍後の外食需要の増加によって米の消費量が急増したことも、需給バランスの崩壊を加速させたと指摘した。

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