台湾で手搖飲ブーム加速 セブンが旗艦店、ファミマは「最大の24時間ドリンク店」に進化中

2025-06-25 16:44
セブン-イレブンが6月20日、初の路面型旗艦店「!+ CAFE RESERVE+TEA 不可思議茶Bar」を正式オープンした(写真/統一超商提供)。

台湾の手搖飲(ハンドシェイクドリンク)市場の規模は台湾ドル1,000億元(約4,900億円)に達すると推定されており、小売・チェーンブランドにとって重要な成長戦略の舞台となっている。台湾のコンビニ大手である統一超商(セブン-イレブン、2912)と全家便利商店(ファミリーマート、5903)は、それぞれ「!+? CAFE RESERVE+TEA 不可思議茶Bar」および「Let’s Café/Let’s Tea」というブランドを展開し、日常的に消費される「一杯」を巡る争奪戦を本格化させている。

「ブランド化・専門化・街ナカ型」が新戦略

台湾のコンビニ各社はすでに茶飲市場に参入しているが、2024年以降は「ブランド化」「専門化」「街ナカ型」がキーワードとなり、飲料事業を新たな柱として位置づけている。セブン-イレブンとファミリーマートは、従来の店内マシンによるカップ販売から脱却し、飲料専門ブランドとしての価値を高める方向に舵を切った。

台湾・セブン-イレブンの動き

セブン-イレブンは2024年6月、「!+? CAFE RESERVE+TEA 不可思議茶Bar」ブランドを立ち上げ、「未来志向の茶飲体験」を打ち出した。1年で約50万人が来店し、全国で200店舗以上に展開した。

2025年6月には、台北市信義区に旗艦となる街ナカ型店舗を開設。約10坪(約33平方メートル)の空間に打ち出し壁やモランディ調のデザインを採用し、茶系・ミルク系の2つのフレーバー体系を軸に、純飲からタピオカなどのトッピングまでを網羅した商品を展開している。

「CITY TEA」との違いは、「不可思議茶Bar」が基礎となる4種の茶葉とティーラテのダブルモデルを採用している点にある。30種以上の多彩なメニューとカスタマイズ性が特徴で、自動抽出機による原葉の抽出、糖度調整機、製氷機、封膜機といった4種類の自動設備を導入し、衛生的かつ高品質な手搖飲を提供している。

この戦略は成果を上げており、店舗あたりの飲料売上は5倍に拡大。特に馬祖の店舗では、「国際タピオカミルクティーの日」に1日1,000杯の「小葉珍珠奶茶(小粒タピオカミルクティー)」を販売する記録を打ち立てた。

セブン-イレブンは年間売上1億元(約5億円)を目標に掲げ、今後は人気商品を既存のCITY TEAにも展開し、リソース共有と出店効率の最大化を図る構えだ。

台湾・全家(ファミリーマート)の対抗戦略

全家(ファミリーマート)は「深化+アップグレード」の二軸で対応している。コーヒー部門の「Let’s Café」は、年間2億杯以上を販売。2022年には台北市中山区・雙連エリアにブランド体験型店舗「Let’s Café PLUS」を開設し、40坪(約132平方メートル)、52席を備え、UCC(上島珈琲)による研修も導入。売上は年ベースで2桁成長を維持している。

茶飲部門では、2019年から展開中の「Let’s Tea」が、全4,300店舗に封膜機を導入し、「台湾最大の24時間営業手搖飲専門ブランド」としての地位を確立している。ラインアップは原茶・ミルクティー・フルーツティー・高級茶の4カテゴリーで構成され、FamiNowやUber Eatsといったデリバリーサービスと連携してオンライン・オフラインの両軸を展開。今年の茶飲料部門は前年比で20%の成長を記録し、飲料事業の第2成長軸として機能している。

20250624-全家於2022年開出首間「Let’s Café PLUS」ブランド体験店舗、台北中山双連商圏に位置します。(全家提供)
全家於2022年開出首間「Let’s Café PLUS」ブランド体験店舗、台北中山双連商圏に位置します。(全家提供)

日常の「一杯」が勝負の分かれ目

コンビニ各社はもはや「飲み物を売る場所」ではなく、「ブランドとして日常に根付く一杯」を構築する段階に入っている。どのブランドがより高いブランドロイヤルティを築き、特に若年層の継続的な購入を促せるかが、この競争を制する鍵となりそうだ。 (関連記事: 台湾最強ドリンク店が決定!Comebuy・得正は圏外、味と品質で頂点に立ったのは? 関連記事をもっと読む

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編集:梅木奈実

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