舞台裏》「台湾侵攻は6分で終わる」?机上演習で露呈した「致命的盲点」と防衛の限界

2025-06-26 12:48
米日台三国の元軍人が参加した「2025台海防衛演習」、終了から数日が経過したが、「中共グループ」が提案した解放軍の台湾東部への上陸プランが、軍事界で依然として様々な意見を引き起こしている。(柯承惠撮影)
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2日間にわたって実施された「台湾海峡防衛机上演習」(Taiwan Defense TTX)は、11日に幕を閉じた。しかし、中国共産党側チームが提示した上陸作戦の構想は、いまもなお軍事関係者の間で激しい議論を呼んでいる。退役した軍上層部の一部は、同案を「戦略的誤認」および「戦術的誤認」と厳しく批判する長文の意見書を発表した。

一方、演習に参加した匿名の関係者は、《風傳媒》の取材に対し、「現在、多くの人が抱く台湾海峡での戦争のイメージは、客観的な事実ではなく主観的な認識に基づいている」と指摘する。さらに、招待を受けて出席したある軍事専門家も、演習の最終段階で結果についてはっきりとした結論が出せなかったことに言及し、「米台双方が前提としている非対称戦の構想に立脚しているとはいえ、最大の致命的な問題は、現実との乖離にある」と語った。

中国軍の東部上陸に議論が、安徽艦登場後は批判が減少

机上演習の期間中、中国共産党側が提示した「台湾東部への上陸」構想が伝えられ、大きな驚きをもって受け止められた。退役将軍の呉斯懷氏はメディアに対し、「解放軍が東部から上陸することには意味がない」と語っている。演習終了後には、退役軍高官が報告書を提出し、中国側の東部上陸構想を今回の兵推における「中国軍の致命的な誤り」と断じ、これが「戦略的誤判断」と「戦術的制約」という二重の失策にあたると痛烈に批判した。

この匿名報告書では、台湾東部の地形的制約や縦深のなさを理由に、上陸してもすぐ包囲され、西部の戦略要地への兵力移動は困難になると分析している。仮に第一波の奇襲上陸に成功したとしても、第二波の増援は持続できず、「上陸すれば即壊滅」という戦略的窮地に陥ると警鐘を鳴らした。報告書の筆者は、中国軍側が東部を「防衛の弱点」と見誤り、「天然の障壁」としての本質を見落としたと批判。さらに、東部上陸では戦略目標が達成できないうえ、台湾軍が花蓮・台東地域に多層的な防衛網とセンサー網をすでに構築している点も過小評価されていると指摘した。

軍関係者によれば、台湾軍の上層部は当初より、台海戦争が勃発した場合、中国側はまず澎湖を制圧し、次に西部への上陸を試みると予想していたという。この見方は、前述の匿名報告とも一致しており、台湾海峡有事に関する多くの人々の共通認識を反映しているといえる。ただし、ある参加者は《風傳媒》の取材に対し、解放軍による東部上陸案は「西を示して東を突く」という奇襲の一環だと説明。2024年10月初旬にこの案を提出した際には、中国側の参加者から不満の声も上がっていたが、2025年2月に解放軍の075型強襲揚陸艦「安徽艦」が台湾東方海域で演習を実施した後、内部の異論は急速に鎮まったと明かした。 (関連記事: エコノミスト誌が米政府を批判:台海政策に安定性欠く、トランプ氏「退任後に中国が台湾を奪取」と発言 関連記事をもっと読む

中国の075型両用攻撃艦。(微博より)
今年2月に解放軍075型両用攻撃艦が台湾本島東約250キロメートルで活動した。(資料映像/微博より)

解放軍が二方向から包囲、四周封鎖で台湾は無抵抗降伏か?

演習に参加した関係者は、台湾東部への上陸は従来の認識を覆す「奇襲」であると強調する。一般的には、台湾東部は岩が多く、上陸が困難で、補給や部隊展開が難しい上、地形によって行動が制限されるというイメージが根強い。しかし、こうした「固定観念」の裏には、台湾軍の東部戦力が極めて手薄であるという現実が見落とされている。花東地域の台湾軍は、戦車1個大隊、機械化歩兵3個大隊、新兵訓練用歩兵1個大隊の計4部隊、兵力は3千人に満たず、解放軍にとっては「牛刀をもって鶏を割く」ような状況だという。