北大西洋条約機構(NATO)事務総長マーク・ルッテは25日、ハーグで行われたNATO年次サミット後の取材で、米国のトランプ大統領が先週末にイラン核施設への精密空爆を決定したことを高く評価し、これがロシアのプーチン大統領や中国の習近平国家主席に明確な抑止メッセージを伝えたと述べた。
米国の公式情報によると、21日現地時間、米国は6機のB-2ステルス爆撃機と海軍潜水艦を動員し、イラン国内の3つの重要核施設に対して大規模空爆を行った。フォルド(Fordo)、ナタンズ(Natanz)、イスファハン(Isfahan)に位置する核施設を攻撃目標とした。米国防官僚によれば、B-2爆撃機はフォルド核施設に「バンカー破壊弾」12発を投下し、海軍潜水艦は他の2か所にトマホーク巡航ミサイル30発を発射した。
ルッテ:米国の軍事行動が強力な抑止力を示す
この軍事行動は、イスラエルとイランの8日にわたる激しい交戦の後に発生した。トランプ大統領は23日、イスラエルとイラン間の停戦合意を促進し、この中東の最新の軍事衝突を終結させたと発表した。
ルッテは記者会見で、米国の軍事行動が強力な抑止力を示したと指摘し、「イランで起こったことは、米国が世界舞台で力を発揮する明確な表れである。これは全世界に『この大統領は必要な行動を取る能力がある』ことを示している。このように武力を行使するが、非常に慎重かつ精密に行う。」とコメントした。
NATO事務総長はこの軍事行動の戦略的意義をさらに分析し、「これは重要なシグナルである。北京の習近平やモスクワのプーチンであれば、この状況を見て不安を感じるだろう。『アメリカ人は本気だ』と気づくだろう。これが国際舞台で必要な米国の力の表れである。」と述べた。
一部の国際メディアは、イランの核計画が完全に破壊されなかった場合、地域情勢が制御不能になる可能性を懸念する報道を行っているが、ルッテはそのリスクを特に心配していないと述べた。米国防長官ピート・ヘグセスとホワイトハウス報道官キャロライン・リヴェットも、イランの核施設は「壊滅的打撃」を受けたと公開声明を出しており、イスラエル政府もイランの核計画が「数年先延ばしされた」と評価している。
頻繁に強調されるイラン核の脅威についての危険性
ルッテは米国の軍事行動の精密性と効果性を強調し、「私は全く心配していない。大統領の行動は非常に精密で、目標が極めて明確である。これはイスラエルの軍事行動後の補強措置であり、イスラエル自身の軍事力ではこれらの核施設に本格的に深く攻撃することはできない。米国は世界で最も強力な軍事力を持ち、B-2爆撃機と大型爆弾を使用してイランの地下深くにある核施設を本当に破壊することができる。」と述べた。
NATO事務総長はこの軍事行動を力と平和の結合と定義し、「これは単なる力の表れではなく、平和の象徴でもある。非常にターゲットを絞ったものである。大統領は空襲後すぐに停戦を呼びかけ、イスラエルとイランの停戦合意を成功裏に促進した。私は彼が完全にやるべきことを行ったと考えている。」と述べた。
ルッテはインタビューの中でイランの核の脅威が国際社会にもたらす危険性を何度も強調した。「私は非常に満足している。なぜなら、イランの核能力は我々すべてに脅威を与えている。NATOの盟友は長い間、イランが核兵器を開発することはあってはならないと考え、『核不拡散条約』を履行する義務があると何度も促してきた。」と強調した。
核拡散の脅威に対する強硬なシグナル
米国防情報局の初期評価によると、イランの最も重要な核施設の損害状況はまだ評価中である。トランプ大統領は24日、自らのSNSでルッテが送ったプライベートメッセージを共有し、NATO事務総長がトランプの行動を「本当に非凡」と称賛し、イランの核施設を攻撃するという決断は「他の誰も取れない行動」であると評価した。
今回の米国によるイラン核施設への直接軍事攻撃は、中東地域の緊張において重要な転回点となっており、トランプ政権が核拡散の脅威に対してより強硬な立場を取る明確なシグナルと見なされている。
責任編集:許咏翔 (関連記事: 台湾はアメリカより「ずっと平和」?──2025年世界平和指数でまさかの順位に注目 | 関連記事をもっと読む )
編集:佐野華美
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