トランプ氏の「恒久停戦」構想に懐疑の声 英誌「中東での成功率は3割未満」

2025-07-01 12:15
2025年6月25日、アメリカのトランプ大統領がNATO首脳会議で発言する。(AP通信)
目次

米国のトランプ大統領は6月23日(米東部時間)、イスラエルとイランが「恒久的な停戦」に合意すると発表した。しかし、それは実現可能なのだろうか。英誌『エコノミスト』の分析によれば、過去30年間に世界で宣言された停戦は2,203件に上り、そのうち約3分の1が破綻している。中東地域に限れば、停戦の成功率は世界平均を下回り、360件の停戦のうち半数以上が崩壊しているという。こうした状況から見ても、トランプ氏が描く和平の未来は不確実性を大きく孕んでいる。

6月13日、イスラエルはイランに対して奇襲攻撃を行い、防空システムを無力化したうえで、複数の核科学者および軍関係者を殺害し、ウラン濃縮施設にも深刻な損害を与えた。さらに米東部時間の21日、アメリカは「ミッドナイト・ハンマー」作戦を展開し、イランの核施設を攻撃。23日にはトランプ大統領が「全面的かつ徹底的な停戦に合意した」と発表し、NBCニュースのインタビューでは、この停戦が「恒久的に続くだろう」との自信を示した。

しかし、英誌『エコノミスト』はこの見通しに懐疑的な見方を示している。研究機関「Ceasefire Project」のデータによれば、1989年から2020年までに世界で宣言された停戦は2,203件にのぼり、そのうち約半数が有効に機能したか継続中である一方、約3分の1は破綻。残りは実際に履行されなかったか、情報不足で評価が困難とされている。

特に中東地域では、停戦の成功率が世界平均を下回る。これまでに確認された360件の停戦のうち、半数以上が失敗に終わっているという。こうした統計から見ても、トランプ氏が語る「恒久的停戦」の実現には、依然として多くの不確実性が残されている。

近30年間の中東停戦の半数以上が破綻。
直近30年間の中東停戦の半数以上が破綻。

イスラエル・イラン停戦の歴史と効果

研究機関「Ceasefire Project」による中東地域の停戦に関する分析によれば、イランが関与した停戦は過去にただ一例のみである。それは2017年、イラン・ロシア・トルコの三カ国がシリア内戦に対応する形で締結した「シリア安全地帯合意」である。しかし、この合意は戦闘を終結させるには至らず、現在も紛争が続いていることから、実質的に破綻したと評価されている。

一方、イスラエルはこれまでに77件もの停戦に関与しており、その大半はハマスとの間で交わされたものである。これらの停戦のうち約30%は短期的な目標を達成したか、あるいは新たな合意に取って代わられたが、いずれも持続的な和平にはつながっていない。たとえば、2025年に発生したガザ衝突では、1月に合意された停戦がわずか2カ月後に破綻し、イスラエルのネタニヤフ首相が再びミサイル攻撃を開始した。このような繰り返される衝突は、中東における停戦の不安定さを改めて浮き彫りにしている。 (関連記事: イラン最高指導者が1週間行方不明!ハメネイ氏の生死は不明、停戦後のテヘランで「権力空白」危機が発生 関連記事をもっと読む

成功した停戦の3つの鍵

研究者らは報告の中で、停戦が成功するケースには三つの共通点が見られると指摘している。: