「それが世界の在り方」 トランプ氏、中国の知財窃盗に驚きの擁護発言

2025-07-01 13:53
トランプ氏、FOXのインタビューで中国に対する態度を180度変える。(画像/Youtubeより)
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トランプ米大統領は日曜日(629日)、フォックスニュースのインタビューに応じた際、再び驚くべき発言をした。彼は、中国による米国の知的財産権窃盗や通信システムへのハッキングといった論争を軽視するだけでなく、「世界とはそういうものだ」「我々も彼らに同じことをしている」と擁護した。これと同時に、トランプはもう一つ衝撃的な発言を繰り出し、TikTokの買い手として「非常に裕福な」グループを見つけたと主張。2週間以内に詳細を公表する予定だとし、長引く米中間のテクノロジーを巡る攻防にさらなる劇的な展開を加えた。

「それが世界のあり方」:トランプ氏、中国の脅威を軽視

トランプ大統領は6月29日、フォックスニュースの番組『Sunday Morning Futures』に出演し、中国の知的財産権侵害やハッキング、そして最近発覚した真菌の密輸事件について、強く非難することなく「それが世界のあり方だ。ひどい世界だ」と述べ、物議を醸した。また「我々も彼らに同じことをしていると思わないか?そうだ、我々もたくさんやっている」と語り、中国への直接的な非難を避ける姿勢を示した。

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番組ホストのマリア・バーティロモ氏は、中国人2名が農業に有害な真菌「フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)」を密輸しようとして逮捕された件についても質問したが、トランプ氏は「それがどこから来たのか分からない。中国政府の指示なのか、変わった連中が勝手にやったのか」と答え、真相には慎重な姿勢を見せた。

こうした発言は、従来のトランプ氏の対中強硬姿勢とは対照的に映る。一方、米中貿易に関する話題では「我々は中国と良好にやっている」と自信を見せ、「中国と仲良くすることは良いことだが、彼らは巨額の関税を支払っている」とも強調した。専門家はこれを、トランプ氏の交渉術の一環とみており、特定の分野で譲歩の姿勢を見せながら、通商面で成果を引き出そうとする意図があると分析している。実際、先週には米中貿易協議が進展し、レアアースの対米輸出加速について合意があったとも報じられている。

ニュース用語辞典:フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)

これは土壌に広く存在する植物病原性の真菌で、多くの種類の穀物に「赤かび病」を引き起こす。この菌に感染した作物は大幅な減産になるだけでなく、さらに厄介なことに、この真菌が作る「嘔吐毒素(DON)」は人間や動物にとって有害である。嘔吐や下痢を引き起こす可能性があり、長く摂取し続けると発がんリスクもある。そのため、このような病原体を意図的に密輸する行為は、アメリカ司法省によって農業の安全と公衆衛生に対する重大な脅威とみなされている。

TikTok買収、「非常に裕福な人々」が関心 2週間以内に発表か

同じインタビュー内で、トランプ氏は未解決となっていたTikTokの売却案件に関し、「すでに買い手は見つかっている」と明言し、「非常に裕福なグループだと思う」と語った。そのうえで「約2週間以内に詳細を発表する」とし、近く交渉の最終段階に入る可能性を示唆した。

この「2週間」という期間は、過去にも米軍の対イラン空爆に関する決定時に用いられたことがあり、実際にその後すぐに軍事行動が実行された経緯がある。

トランプ氏はこの売却について、中国の承認が必要になる可能性があるとしつつも、「習近平主席が同意するかもしれない」との見方を示した。

米国議会は2024年にTikTok禁止法を可決しており、中国の親会社バイトダンス(ByteDance)は、期限内に米国事業を第三者に売却しなければ、TikTokが米国内で禁止されることになる。この最終期限はこれまでに3度延長されており、現在の期限は9月17日となっている。

トランプ氏がTikTokに関心を持つ背景には、昨年11月の大統領選挙において、若年層の支持獲得にTikTokが大きな役割を果たしたという事実があると広く見られている。

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​編集:田中佳奈