鹿児島県のトカラ列島近海で6月21日朝以降、地震活動が活発化している。福岡管区気象台によると、23日午後5時までの3日間で震度1以上の地震が252回にのぼり、このうち震度4が3回、震度3が15回、震度2が62回、震度1が172回確認された。最も大きな地震は22日午後5時15分に発生したマグニチュード5.2の地震で、悪石島で震度4を観測した。
震源はすべて鹿児島県十島村の悪石島および小宝島周辺に集中しており、特に悪石島では「夜も揺れが絶えず寝不足になる」との住民の声も聞かれる。十島村役場によると、現時点で人的被害や避難の報告はないという。
トカラ列島近海では、これまでも数年に一度の頻度で地震が集中する傾向がみられ、2023年9月には震度1以上の地震が346回、2021年12月には308回を記録。2021年にはマグニチュード6.1の地震が発生し、悪石島で震度5強を観測、崖崩れなどの被害も発生した。
今回の地震活動を受けて、SNS上では「トカラの法則」が再び注目を集めている。「トカラ列島で群発地震が発生した後、日本国内で大地震が起こる」とする俗説で、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震との関連を指摘する声もある。
この“トカラの法則”について、鹿児島大学の中尾茂教授(固体地球物理学)は《南日本新聞》の取材に対し、「科学的根拠はなく、日本全体が地震多発地帯であることを考慮すれば、これは偶然の一致に過ぎない」と述べ、「場所を問わず、日頃からの防災意識と備えが何より重要だ」と注意を促した。
気象庁も、「トカラ列島近海はもともと地震活動が活発な地域であり、今回の一連の活動についても、今後しばらくは強い揺れを伴う地震が発生する可能性がある」として、住民や旅行者に対して引き続き警戒を呼びかけている。現時点で津波は確認されていない。
また、この地震活動については台湾側の専門家も注目している。現在の震源は主に沖縄トラフ北部に位置しており、台湾に直ちに影響を及ぼす可能性は低いとされているが、将来的に琉球海溝で大地震や津波が発生した場合には、台湾北東部の宜蘭地域に影響を及ぼす可能性もあるとして警戒が呼びかけられている。
編集:梅木奈実 (関連記事: 大分県・国東半島沖で新たな活断層を発見 M7超の地震に警戒 南海トラフの発生確率も80%に上昇 | 関連記事をもっと読む )
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