鹿児島・トカラ列島で地震活動が再び活発化している。福岡管区気象台によると、6月21日朝以降、7月1日午前11時までに震度1以上の地震が740回発生し、これは「近年の活動の中では最多」だという。震度5弱が1回、震度4が11回、震度3が44回、震度2が185回、震度1が499回記録された。
震源はすべて鹿児島県十島村の悪石島および小宝島周辺に集中しており、特に悪石島では「夜も揺れが続いて寝不足になる」との住民の声も聞かれる。十島村役場によると、現時点で人的被害や避難の報告はない。
トカラ列島近海では、これまでも数年に一度の頻度で地震が集中する傾向がみられ、2023年9月には震度1以上の地震が346回、2021年12月には308回を記録。2021年にはマグニチュード6.1の地震が発生し、悪石島で震度5強を観測、崖崩れなどの被害も発生した。
トカラ列島はユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界に位置し、地下構造が複雑なため、プレートの沈み込みによってひずみが蓄積しやすい地域とされる。海底火山や活火山が点在することから、地震活動は火山活動に関連しているとの見方もある。
トカラ列島近海では過去にも数百回規模の群発地震が発生しており、2023年9月には346回、2021年12月には308回、同年4月には265回の震度1以上の地震が記録されている。特に2021年にはマグニチュード6.1の地震が悪石島で震度5強を観測し、崖崩れなどの被害も出た。
今回の一連の地震活動を受け、SNS上では「トカラの法則」が再び注目を集めている。これは「トカラ列島で地震が多発した後、日本国内で大地震が起こる」という俗説で、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震と結びつける声もある。しかし、気象庁や専門家はこれを明確に否定している。
この“トカラの法則”について、環境防災総合政策研究機構の草野富二雄氏は「マグニチュード6程度の地震はこの地域で起こり得るが、南海トラフ巨大地震など他の地域の活動に影響することは考えにくい」としている。鹿児島大学の中尾茂教授も「科学的根拠はなく、日本全体が地震多発地帯であることを考慮すれば、これは偶然の一致に過ぎない」とし、冷静な対応を呼びかけている。
気象庁も「今後しばらくは震度5弱程度の地震が発生する可能性がある」として警戒を促しており、津波は確認されていない。現在も震度1以上の地震が1日あたり数十回のペースで継続しており、今後の推移に注意が必要だ。
また、この地震活動は台湾の地震学者にも注目されている。現在の震源は主に沖縄トラフ北部にあたり、台湾に直接的な影響を及ぼす可能性は低いとされているが、将来的に琉球海溝での大地震や津波が発生した場合、台湾北東部の宜蘭地域に影響を及ぼす可能性もあるとして警戒が呼びかけられている。
編集:梅木奈実 (関連記事: 日本から50キロ!「伝説の深海魚」が異例の5回出現──「地震の予兆か」と憶測も | 関連記事をもっと読む )
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp