台湾海峡解読》馬英九氏「平和民主統一」発言に中国ネット民が猛反発 習近平側近は擁護姿勢も

2025-07-08 13:39
6月26日に甘粛省敦煌市の敦煌研究院で開催された両岸共同の中華文化推進イベントで、馬英九がスピーチ中に「脱稿演出」として、「両岸の平和民主統一」を打ち出し、中国大陸のオンライン世論に議論を巻き起こした。(新華社)
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台湾元総統・馬英九氏はいくつかの大九学堂の学生を引率し、先日中国を訪問した。まず厦門で開催された海峡フォーラムに参加し福建省の訪問を終えた後、甘粛省を訪れた。6月26日、敦煌研究院での中華文化振興イベントのスピーチ中には「平和的で民主的な統一を目指すべき」と発言。この発言に対して、聴衆の拍手が起こったが、中国の国務院台湾事務弁公室主任宋濤氏は、「台湾は全ての中国人の台湾であり、台湾の未来は両岸の中国の子供たちによって共同で決定されるべき」と述べた。宋濤氏の発言は台湾で「馬英九への反論」と解釈され、「二人が互いに意識し合っている」との見方も示されている。

「平和民主統一」演説、大陸ネット世論は反応せず

馬英九氏は演説中、平和とは「武力や武力の脅威を使用しないこと」、民主とは「台湾人民の意志を尊重すること」と説明。この発言により、中国大陸の世論は即座に騒然となり、あるネットユーザーは「馬英九氏は統一のために頭を捻っているが、14億の中華子女の激怒に触れた」と批判した。また、あるネット記事では「馬英九氏の発言は場を驚かせ、大陸の同胞の正当な権利を無視している」と述べ、宋濤氏の反論を中共の公式な「否定」と見なす声もあった。さらに、過激な視点では今後馬英九氏を歓迎しないべきだとの意見も示された。

この激しい世論の中で、最も目立つのは中国人民大学国際関係学部の教授である金燦榮氏の発言だ。彼は馬英九氏の見解に同意できないと述べ、その理由は、馬英九氏が両岸統一に多くの条件を設けており、これらの条件が大陸の人々と中央が追求する統一目標と「著しい差異」があるからだとしている。金燦榮氏は批判的な口調で、馬英九氏が総統時代の8年間、親米傾向から「不統・不独・不武」という政策を渋々進めたことで、祖国統一の進展を遅らせたと述べた。

金燦榮氏にとって、馬英九氏の「即興演説」は「計画的に」行われた可能性が高いと考えられており、目的は「統一という避けられない現実を受け入れる中で、条件を設けて現状を維持すること」であるとされている。金燦榮氏の統一に対する立場は「台湾問題の最終解決は、中華民族全体の努力による結果であるべき」であると示される。この短い記事には「馬英九の『平和民主統一』論は偽統一だ」との刺激的なタイトルが付けられ、《環球時報》元編集長の胡錫進氏によってそのままのタイトルで全文が転載され、「偽統一」の概念の広まりに拍車をかけた。 (関連記事: 驚きの発言!馬英九氏が中国訪問で両岸の「平和的民主統一」を主張 関連記事をもっと読む

針對馬英九「和平民主統一」的說法,中國人民大學國際關係學院教授金燦榮(見圖)批評為「假統一」。
馬英九の『平和民主統一』という主張に対し、中国人民大学国際関係学院教授の金燦榮氏(写真参照)は『偽統一』として批判した。(資料写真、金燦榮氏のWeiboより)

習近平の台湾政策顧問が馬英九を擁護、哀悼の念も

あまり注目されていないが重要なのは、習近平氏に信任されている立場から親台的で知られる中国大陸全国台湾研究会会長の汪毅夫氏だ。汪毅夫氏は通常歴史に関する投稿を中心としていたが、今回、馬英九氏の「平和民主統一」発言に個人的な見解を珍しく示した。汪毅夫氏は馬英九氏の発言を自主的な表現として捉え、「自身でも言い切ることはできず、どこか窮屈だ」と指摘。彼によれば、その原因は「現在の台湾では、蔡英文氏が統一を語ることを許さない」ためだ。