米中間の関税協定の期限切れや人権問題、台湾海峡をめぐる緊張が続くなか、中国外交部は8日に定例記者会見を行い、報道官の毛寧氏が「対等関税」「チベットのダライ・ラマ14世」「米中当局者の会談」などについて見解を示した。
関税問題に関して毛氏は、「中方の立場は一貫しており、明確だ。関税戦争や貿易戦争に勝者はいない。保護主義は各方面の利益を損ねる」と述べた。ただし、中国政府は関税協定の期限終了後にどのような対応を取るかについて、具体的な発表を行っていない。一部の中国経済学者は、今後の米中関税交渉は、貿易だけでなく、チベット・新疆・台湾といった中国の核心的利益に対する米国の姿勢に左右されるとの見方を示している。
チベット問題について毛氏は、「アメリカがチベット問題の重要性とその敏感さを十分に認識すべきだ」と強調。さらに、「西藏問題は中国の内政であり、外部からの干渉は許されない」と述べたうえで、ダライ・ラマ14世については「宗教者ではなく、宗教を装って反中分裂活動を行う政治亡命者だ」と非難した。中国政府はまた、いわゆる「チベット亡命政府」に対しても、「チベット人民を代表する権利も、将来を決定する権限も持たない」と明確に否定した。
加えて毛氏は、「ダライ・グループの反中分裂の本質を見極めるべきだ」としたうえで、米国に対して「チベット問題に関する約束を守り、干渉をやめ、『チベット独立』勢力にいかなる誤った信号も送らないよう」求めた。
ダライ・ラマ14世は最近の誕生日の場で、自身の死後に生まれ変わる「転生ラマ」について、「中国ではなく、自由な世界で生まれるだろう」と語った。この発言も含め、米国務長官ルビオ氏がかつてダライ・ラマに公開で祝意を送ったことが、中国側の強い反発を招いている。
台湾情勢についても、中国国防部は最近の米国議員による訪台に強い関心を示しており、頼清徳総統が打ち出した「国家の団結全10回」に対しては強く反発している。
国防部の蒋彬報道官は、「10の講演は歴史を歪曲し、概念をすり替え、巧妙に組み立てられた嘘だ」と述べ、「台湾独立という分裂の企てを飾り立て、大陸の脅威を煽り、台湾社会に不安を広げ、台湾の未来を外部勢力の手に委ねようとしている」と非難した。
また、中国側は、台湾の国防予算増額や「台澎金馬のために戦う」といった議論について、「騒げば騒ぐほど破滅が早まる。『台湾独立』を武装化する動きは、最終的に共に破滅することになる」と厳しい警告を発している。
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