台湾南部にある第3原子力発電所(核三)の再稼働を問う国民投票が23日に実施された。投票結果は賛成434万1432票、反対151万1693票で、賛成票が大きく上回ったものの、法定要件である有権者総数の4分の1(500万523票)には届かず、不成立となった。
頼清徳総統は同日夜、総統府で談話を発表し、その後記者団の質問に答えた。記者から「430万票を超える賛成票は成立要件に及ばなかったとはいえ、無視できない民意ではないか」と問われると、頼氏は「この結果を尊重する」と述べた上で、「社会が多様なエネルギー選択を強く望んでいることを十分理解しており、重く受け止めている」と強調した。
さらに頼氏は、台湾における原子力をめぐる長年の議論を踏まえ「最大の共通認識は『安全』であり、原子力の安全性は科学的な検証に基づくべき問題で、一度の投票で解決できるものではない」と語った。

そのうえで、政府としては「原発の安全性が確保されること、使用済み核燃料の処理に道筋があること、そして社会的な合意が形成されること」という三つの原則を堅持していく姿勢を改めて表明。「科学技術が進歩し、安全性が高まり、核廃棄物の問題が軽減され、社会的な合意が広がるのであれば、政府は先進的な原子力技術の導入を排除しない」と述べた。
また、今回の第3原子力発電所の再稼働に関しては「二つの必須手続き」を改めて指摘。第一に、核安会(原子力安全委員会)が《核能管制法》に基づき安全審査の手続きを整備すること。第二に、台電(台湾電力)がその規定に従って自主的な安全審査を実施し、進捗やリスクを社会に公開した上で、基準を満たせば核安会に付議することだと説明した。
頼氏は「我々の立場は一貫しており、今後も透明性をもって社会と対話しながら対応する」と述べ、国民の安心を重視する姿勢を示した。
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