「ウクライナ侵攻の予兆に酷似」台湾内政部が警鐘 1949年以来の「最大危機」に直面

台湾内政部政務次官の馬士元氏、7日に内政委員会で質疑応答。(写真/顏麟宇撮影)
台湾内政部政務次官の馬士元氏、7日に内政委員会で質疑応答。(写真/顏麟宇撮影)

台湾・行政院は、賴清德総統が掲げる国家安全戦略「賴17条」に基づき、『国家安全法』を含む関連法の改正作業を進めている。しかし、7日に立法院で行われた審査では、安全保障強化を目指す政府・与党(民進黨)と、「言論の自由が脅かされる」と危惧する野党(国民党)が激しく衝突した。

政府高官の警告「1949年以来、最大の脅威」

審査の場で衝撃を与えたのは、内政部政務次長・馬士元氏(マー・シーユエン)の警告だ。 馬氏は、現在の台湾が置かれている状況について「1949年(中華民国政府の台湾移転)以来、前例のない深刻な脅威に直面している」と明言。特に中国共産党の最近の動きについて、以下のように分析した。

  • 物理的威嚇:中国人民解放軍による「台湾侵攻を想定した演習」(2025年末実施)。
  • サイバー・認知戦:サイバー空間での攻撃に加え、台湾国内の協力者やネット工作部隊と連携した大規模な認知戦・宣伝活動。

馬氏は「この状況は、ロシアがウクライナに侵攻する直前の兆候とほぼ重なっている」と述べ、有事への危機感を露わにした。

激増するスパイ事件と「中華民国の消滅」

行政院大陸委員会の梁文傑副主任委員も、中国の対台湾工作が全方位的に浸透していると強調。「その最終目的は、台湾への侵攻と中華民国の消滅にある」と断じた。国家安全局の統計によると、脅威は数字にも表れている。

  • スパイ事件の起訴人数:2024年は64人に達し、2021年の3倍に急増。
  • 5つの主要浸透ルート:暴力団、地下金融、隠れ蓑企業、宗教団体、民間団体。

法改正の中身と「言論の自由」を巡る攻防

行政院は、こうした脅威に対抗するため、『国家安全法』のほか、『陸海空軍刑法』や『社会秩序維持法』など計20本の法律と120項目の行政措置の整備を進めている。しかし、7日の審議では野党・国民党が猛反発した。特に、改正案に含まれるとされる「武力統一を鼓吹する言論」への行政罰(最高100万台湾ドル(約495万円)など)が争点となった。

国民党は「甲級動員(最高レベルの動員令)」を発令し、「言論の自由を抑圧するものだ」と主張。民進党が掲げてきた自由の価値に反するとして、「鄭南榕(言論の自由のために焼身自殺した活動家)に顔向けできない」と激しく批判した。最終的に、委員長を務める民進党の王美惠氏が「より周到な立法が必要」として、3月末までに与野党主催の公聴会を計2回開催することで合意し、実質審査は持ち越しとなった。

国際法に基づく規制の正当性

政府側は、言論規制への懸念に対し、法的な正当性を主張している。梁文傑氏は、『市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)』第20条が「戦争宣伝の法律による禁止」を定めている点を挙げ、「今回の改正は国際条約上の義務を履行するものであり、言論の自由の侵害には当たらない」と説明。また、インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)に対しても、敵対勢力による工作を防ぐための協力義務や削除メカニズムの構築を求めていく方針を示した。

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