【舞台裏】中国は「民族団結進歩促進法」を強行施行、頼政権の「頼17条」はなぜ沈黙

台湾の頼清徳総統は2025年3月13日、国家安全ハイレベル会議を開き、いわゆる「頼17条」を発表し、関連法案の改正を推進した。(資料写真/柯承惠撮影)
台湾の頼清徳総統は2025年3月13日、国家安全ハイレベル会議を開き、いわゆる「頼17条」を発表し、関連法案の改正を推進した。(資料写真/柯承惠撮影)

台湾の2026年統一地方選(九合一選挙)が迫る中、地方の執政基盤を守りたい国民党は、各県市を巡回して候補者を支援する「行動中常会」を始動した。民衆党の創設者である柯文哲氏も、全台各地を回り、候補者の応援演説や街頭活動を続けている。民進党も5月から、中央の政務官と各県市の候補者が地方に入り、政権実績を訴える「台湾好生活」政策説明会を展開している。

ただ、2025年の大規模リコール運動で「抗中保台(中国に対抗し台湾を守る)」を大きな軸に掲げた時期とは異なり、民進党は年末の地方選に向け、選挙メッセージと戦略をすでに切り替えている。

頼清徳総統は2026年5月27日、国家安全ハイレベル会議を開き、その後の記者会見も自ら主宰した。そこで発表したのは、少子化対策を目的とし、総額約3800億台湾元規模と見込まれる「台湾人口対策新戦略:家庭支援編」の18項目だった。

しかし、そこから約14カ月前の国家安全ハイレベル会議後の記者会見で、頼氏が打ち出していたのは「5つの国家安全・統戦上の脅威と17項目の対応策」、いわゆる「頼17条」だった。頼氏は当時、各機関に法制度の整備を求め、「社会との対話を強化し、速やかに実行する」よう指示していた。

それから1年以上が過ぎた現在、「頼17条」は与野党攻防の焦点になることが少なくなり、関連法案の改正も民進党にとって立法院での優先議題から後退しているように見える。中国で「民族団結進歩促進法」が7月1日に施行される中、頼政権はなぜ、かつて前面に押し出した「頼17条」をめぐり低調な姿勢に転じたのか。

20250722-立委罷免投票在即,罷免團體與反罷免團體在街頭各自努力衝刺。(柯承惠攝)
2025年の大規模リコール運動では「抗中保台」が大きな軸となったが、民進党は2026年選挙に向け、選挙メッセージと戦略を切り替えている。(資料写真/柯承惠撮影)

頼氏が名指しした法改正、行政院は「掛け声先行」に

​頼氏は2025年3月13日、「頼17条」を提示し、9本の法案改正を名指しした。翌日、卓栄泰行政院長は「総統のすべての指示について、関連部会は期限を設けて点検し、期限内に完了させる」と公の場で表明した。

軍事審判制度の再開に関する『軍事審判法』改正草案については、国防部が行政院に提出したものの、現在まで閣議決定されず、立法院にも送付されていない。一方で、頼氏が改正を指示した『サイバーセキュリティ管理法(資通安全管理法)』や、「頼17条」に関連する『産業イノベーション条例』、海底ケーブル関連7法などは、2025年中に立法院で第三読会を通過し、順次成立している。

行政院は2025年末、最後の2回の院会で、『国家安全法(国安法)』『社会秩序維持法』『両岸人民関係条例』『陸海空軍刑法』など6本の改正草案を相次いで閣議決定し、立法院に送付した。

6法案を送付した後の2025年12月26日、卓氏は、行政院が頼総統の17項目の対応策を受けて、立法や改正が必要な20本の法案を点検してきたと説明した。そのうえで、「立法院には速やかに法改正手続きを完了し、国家安全の法制度を強化してほしい」と求めた。
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しかし、行政院が2025年末に駆け込みで立法院に送付した国家安全関連法案の審議状況を見ると、進展は限られている。そのうち最後に提出された『社会秩序維持法』改正案は、野党の反対で14回にわたり第一読会通過と委員会付託を阻まれ、いまだ審議入りしていない。

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