AI特需に沸く韓国SKハイニックス、高待遇で離職率1%以下

韓国のメモリー半導体大手、SKハイニックスの展示会ブース。(AP通信)
韓国のメモリー半導体大手、SKハイニックスの展示会ブース。(AP通信)

全世界における人工知能(AI)向け計算能力需要の爆発的な高まりは、韓国の半導体メモリー大手、SKハイニックス(SK Hynix)に莫大な利益をもたらし、これが福利厚生の充実や給与待遇の引き上げにつながり、同社従業員から離職意欲がほぼ払拭されているようだ。韓国メディアが引用した最新のサステナビリティ・レポートによると、2025年における同社の韓国内従業員の「自己都合退職率」は1%を下回った。

同レポートによれば、SKハイニックスの韓国国内事業部門における2025年通期の自己都合退職率はわずか0.5%だった。中でも30代から40代の従業員層が最も定着率が高く、この世代の自己都合退職率は0.4%にとどまっている。また、同時期におけるリストラや定年退職などを含む「会社都合等退職率」も0.4%だった。これらを合算した年間の人材流動率は、韓国の半導体業界全体において群を抜く低水準となった。

25年採用人数は前年の3.4倍

高い求心力を備えた既存の従業員に加え、SKハイニックスは昨年、受注急増に伴う工場拡張、増産計画を背景に、年間3201人の大規模採用を実施。これは前年(2024年)の942人の約3.4倍となった。昨年の人材採用は主に、忠清北道清州(チョンジュ)に位置する新工場「M15X」の第1期稼働に伴う実質的な人材需要の増加に起因している。

外部からの関心が最も高い給与待遇についても、同レポートで初めて公表された。2025年の新入社員(大卒の技術職・事務職)の初任給は、450万5000ウォン(約47万円)に設定されている。

SKハイニックスが生産するNVIDIA(エヌビディア)向けHBM4メモリー。(公式ウェブサイトより)
SKハイニックスが生産するエヌビディア向けHBM4メモリー。(公式ウェブサイトより)

納税貢献も2.6倍

HBMなどAI向け中核インフラへの需要爆発により、SKハイニックスの営業利益は急増しており、同社は韓国の国家財政および経済にも間接的に多大な貢献を果たしている。同社が2025年に創出した社会的価値(SV)の総額は20兆3247億ウォン(約2兆1000億円)に達し、前年比で69.4%増という驚異的な成長を記録した。

雇用、配当金、法定納税を含む「経済的間接貢献」の側面では、SKハイニックスの2025年の実績は20兆3561億ウォン(約2兆1300億円)となり、前年比69.8%増を記録。そのうち納税による貢献だけでも9兆5329億ウォン(約1兆円)に上り、前年の3兆5545億ウォン(約3700億円)の2.6倍もの税金を国庫に納付した。

職場の多様性(ダイバーシティ)および福利厚生の面では、SKハイニックスにおける女性管理職(上級職)の割合は3.4%と前年横ばいであり、今年の目標を3.9%に設定している。また、女性の初級管理職の割合は0.3ポイント増の6.8%となり、2026年には7.3%を目標としている。さらに、SKハイニックスは韓国政府の少子化対策にも寄与している。社内の充実した育児支援制度の恩恵を受け、2025年に「配偶者の出産休暇」を申請した男性従業員は1091人に上り、前年から300人近く増加した。

韓国・SKハイニックスの時価総額が、20年間首位に君臨していたサムスン電子を正式に上回った。(AP通信)
SKハイニックスの時価総額は、20年間首位に君臨し続けてきたサムスン電子を上回った。(AP通信)

同レポートには、もう一つ興味深い点が記載されている。グループの海外事業の急速な拡大に伴い、企業内部で資産の再編が行われている点だ。SKグループ傘下で石油、代替エネルギー、石油探査事業を統括するSKイノベーション(SK Innovation)が、エアバスA319型ビジネスジェット機の所有権の50%をSKハイニックスに譲渡したのだ。この措置の背景には、HBMの増産事業に関する交渉等のため、多数のSKハイニックスの幹部やエンジニアが米国やその他の国へ出張する需要が急増しているという実態がある。

編集:平松靖史

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