韓国SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長はメディアの取材に応じ、現在、半導体生産ラインが構造的な制約に直面しているため、世界的な半導体メモリーの供給不足は今後4〜5年続く恐れがあると警告した。
米カリフォルニア州サンノゼで開催されたエヌビディア(NVIDIA)の技術カンファレンス「GTC」に出席した崔氏は、報道陣に対し、世界的な需要の高まりを指摘。傘下のSKハイニックスが積極的に生産能力の拡充を図っているものの、現実的には市場の需要を完全に満たせるのは2030年頃になるとの認識を示した。
同氏は米ブルームバーグに対し、業界全体の供給量は需要を少なくとも20%以上下回っていると述べている。
SK Group chairman says wafer shortage to last until 2030, trying to stabilise memory priceshttps://t.co/oT30i45ITlhttps://t.co/oT30i45ITl
— Reuters (@Reuters)March 17, 2026
AIによる生産能力の逼迫
現在、世界のメモリー半導体市場は韓国のSKハイニックス、サムスン電子、米マイクロンテクノロジーの大手3社によって事実上独占されている。
生成AIブームに伴う膨大な需要に対応するため、これら3社は生産リソースを、エヌビディアのAIアクセラレーター向け特殊規格メモリーである「高帯域幅メモリー(HBM)」へとシフトさせている。しかし、この戦略的な生産転換が、結果として従来型ストレージ用メモリーの深刻な供給不足を直接的に招く形となっている。

SKハイニックス、米国でのADR発行を検討
こうした深刻な生産能力のクラウドアウト(押し退け)効果と巨大な供給不足は、すでに多くのテック企業の収益を圧迫し始めており、川下メーカー、特にコンシューマー・エレクトロニクス企業の事業計画に混乱をきたしている。需給の深刻な不均衡に直面し、これらの企業はノートPCやスマートフォン、さらには自動車やデータセンターといった末端機器の販売価格引き上げを余儀なくされている。
多くの市場アナリストは、この世界的なサプライチェーン危機は、抜本的な解決策が見出されるまでさらに悪化する可能性があると予測している。主要サプライヤーのトップである崔氏は、SKハイニックスが市場価格の安定化に向けた対策を検討中であると述べたが、具体的な詳細については言及を避けた。

また、資本市場における戦略について、崔氏はグループの広報担当者を通じ、SKハイニックスが米国での米国預託証券(ADR)発行の可能性を「慎重に検討」していることを認めた。業界では、この動きは国際的な知名度をさらに高め、米マイクロンテクノロジーなど米国市場における競合他社とのバリュエーション(企業価値評価)格差を縮小させる狙いがあるとみられている。
供給不足と増産のニュースを受け、17日のソウル株式市場でSKハイニックスの株価は一時3.7%の大幅高となった。同時に、競合のサムスン電子の株価も連れ高となっている。
株価を押し上げた大きな要因は、エヌビディア(NVIDIA)のジェンスン・フアンCEOが「GTC」において、サムスン電子の最先端4ナノ(nm)プロセス技術を採用し、注目のAI半導体スタートアップであるGroq(グロック)のAI推論プロセッサーを受託製造することを認めたことにある。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
編集:平松靖史 (関連記事: 【NVIDIA GTC 2026】、ジェンスン・フアン氏が描く「1兆ドルのAI藍図」 台湾勢20社超が「5層のケーキ」戦略に集結 | 関連記事をもっと読む )

















































