米軍による対イラン軍事行動が3週目に入るなか、トランプ大統領の「エピック・フューリー(壮絶な怒り)」と称される決斷の是非と、泥沼化する戦局の収束について、世界中の戦略専門家が議論を交わしている。こうした混乱の最中、国家テロ対策センター(NCTC)のジョセフ・ケント局長は17日、辞任書簡を提出した。「熟考の末、即日付でNCTC局長を辞任することを決意した。良心に背いてまで、この対イラン戦争を支持し続けることはできない」と言明した。
ケント氏は「イランは米国にとって差し迫った脅威ではない」と断言し、米国政府がイスラエルとそのロビー団体によって目隠しをされ、欺かれたことでこの戦争が引き起こされたと厳しく批判した。トランプ政権内で、対イラン戦争への抗議を理由に国家安全保障の高官が辞任するのはこれが初めてだ。これに対し、トランプ氏は「イランが脅威ではないと言い張るような人物が離職するのは、むしろ良いことだ」と一蹴している。
「欺瞞のエコーチェンバー」が米政権を誤導か
国家テロ対策センター(NCTC)は、9.11テロ事件後の米情報機関の大改革によって誕生した組織である。国家情報長官室(ODNI)の直属として、政府全体のテロ対策情報の統合を担う要衝だ。
しかし、ケント氏は辞任書簡の中で、イスラエル高官と米メディアの影響力ある人物らが結託し、トランプ政権に対して「誤導的なプロパガンダ」を展開したと指名した。この「欺瞞に満ちたエコーチェンバー」がトランプ氏の「アメリカ・ファースト」という公約を形骸化させ、好戦的な感情を煽って開戦を誘導したと明言している。
【解説】国家テロ対策センター(NCTC)とは
NCTCの前身は、2003年に設立されたテロリスト脅威情報センター(TTIC)である。当時のブッシュ(子)大統領の指示により、FBI、中央情報局(CIA)、国土安全保障省、国防省が連携し、9.11以前のような情報の「縦割り(情報孤島化)」を防ぐ目的で構築された。2004年情報改革およびテロ防止法(IRTPA)に基づき、独立した行政機関として正式に発足した。
NCTCはテロ脅威の分析、情報共有、容疑者データベースの維持、省庁横断的な戦略計画の策定を担い、国家情報長官に直接報告を行う。局長は、大統領が指名し上院の承認を経て任命される重要ポストである。
「イラク戦争の過ちを繰り返すな」
ケント氏は辞任書簡の中でトランプ氏に対し、イスラエル関連勢力が嘘を用いて大統領を欺き、イランが差し迫った脅威であると誤認させたと訴えた。「今、開戦すれば迅速な勝利が得られる」と信じ込ませたという。
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ケント氏は「これは嘘であり、かつて我々を破滅的なイラク戦争へと引きずり込んだイスラエル人が用いたものと同じ戦術だ。あの戦争では、わが国の優秀な男女数千人の命が失われた。我々は二度と同じ過ちを繰り返してはならない」と、過去の教訓を引いて強く警告した。

















































