米国とイランの「低コスト無人機」応酬、台湾海峡有事の「地獄絵図」を先取りか

米国とイランの軍事衝突からは、低コスト無人機が戦場で大量に運用されている実態が見て取れる。新たな戦術発想は、頼清徳政権の武器調達政策に重い課題を突き付けている。(写真/劉偉宏撮影)
米国とイランの軍事衝突からは、低コスト無人機が戦場で大量に運用されている実態が見て取れる。新たな戦術発想は、頼清徳政権の武器調達政策に重い課題を突き付けている。(写真/劉偉宏撮影)

米国とイランの軍事衝突において、双方は低価格の長距離攻撃型無人機を大量に投入した。イランの「シャヘド(Shahed、別名:証人)」や米国の「LUCAS(低コスト無人戦闘攻撃システム)」がその一例だ。これらの兵器は1機あたり約3万ドルと安価で、撃墜されたとしても損失は限定的である。一方、台湾が米国から調達する4機のMQ-9B無人機は、地上管制施設や人員訓練を含め、総額6億ドル(約950億円)に上る。

米国とイスラエルによる対イラン軍事行動により、ホルムズ海峡の両岸は緊迫した情勢にある。この戦争は、将来的に台湾海峡で起こり得る「地獄絵図(ヘルスケープ)」の予行演習ともいえる。米国とイランの双方が、作戦任務に安価な無人機を大量投入しているためだ。

イランのシャヘドは1機約2万ドル(約320万円)、米国のLUCASは3万5,000ドル(約550万円)とされる。こうした低価格無人機の特徴は「大量の消耗品」として運用し、相手側の数百万ドル規模の防空ミサイルを消耗させられる点にある。現代戦争のロジックはすでに書き換えられ、安価で大量消耗が可能な無人機が戦場の主流となっている。これに対し、依然として高額な大型無人機を調達し続ける台湾は、最新かつ主流の「戦略的思考」に追随できていないのではないか、との指摘が出ている。

「地獄絵図(ヘルスケープ)」構想とは何か

「地獄絵図(ヘルスケープ)」の概念は、米軍のサミュエル・パパロ前インド太平洋軍司令官が2024年6月に初めて提唱したものである。パパロ氏は、中国が台湾に侵攻した場合、米軍は台湾海峡に無人作戦システムを大量投入し、「台湾海峡を無人機の地獄に変える」ことで、中国人民解放軍の行動を遅らせ、他の戦力を展開する時間を稼げるとの見解を示した。この構想は、ウクライナが低コスト無人機を用いてロシア軍に対抗した経験に着想を得たものだ。

イラン製廉価無人機「シャヘド」の台頭

​米軍は2020年1月3日、バグダッド空港でイラン革命防衛隊の指導者カセム・ソレイマニ司令官を殺害した。この際、3,000万ドルを投じた「MQ-9 リーパー」からヘルファイア・ミサイルが発射された。一方、今回台湾が購入するのは、その偵察型である「MQ-9B シーガーディアン」だ。米国は当初、こうした高価格な大型無人機の開発に注力していたが、現在は1機3.5万ドルの「LUCAS」へと舵を切っている。MQ-9と比較して800倍も安価なこの機体への転換は、イラン製廉価無人機「シャヘド」の台頭を目の当たりにしたことが決定的な要因となった。 (関連記事: 台湾版アイアンドーム「台湾の盾」構築へ 低コスト兵器でロケット弾迎撃、AIも導入 関連記事をもっと読む

2025年10月14日、イランの「シャヘド136」攻撃無人機が英議会での記者会見で展示された。(AP)
2025年10月14日、イランの「シャヘド136」攻撃無人機が英議会での記者会見で展示された。(写真/AP通信提供)

1979年のイスラム革命による神権体制樹立以降、親米のパフラヴィー朝を打倒したイランは、西側諸国から長年の武器禁輸措置を受けてきた。米国やイスラエル空軍が最新鋭のF-35ステルス戦闘機への更新を進めるなか、イラン空軍の主力は依然として1970年代に調達された旧式機に留まっていた。

最新ニュース
Spotify、2026年期待の次世代アーティスト「RADAR: Early Noise 2026」選出 3月19日に渋谷でライブ開催
【隈研吾監修】東北道・佐野SAが刷新!上下線を行き来できる新拠点に
トランプ氏、米中首脳会談の延期を発表 中東情勢緊迫で米国の威信に影
台湾発のミニマル美 グッドデザイン賞受賞の「ZENLET」が日本初上陸、3月20日表参道旗艦店オープン
コロナ セロ、都市のランチタイムを彩る新体験「SUNTAGS」を発表 太陽の下で心身をリフレッシュ
【シズラー】ブランド豚「ゆめの大地」や時鮭など北の恵みが集結!「Good JAPAN 北海道フェア」3月17日より開催
東急ステイ、恵比寿に「東急ステイ渋谷 恵比寿」を3月17日開業 地域の食やサッポロビールと連携
【佐賀】歴史と野遊びが融合 スノーピークの新施設「吉野ヶ里」が3月18日グランドオープン
米国とイランの軍事衝突、世界規模の衝突と物流危機へ発展か イラン専門家が語る「想定外の事態」
【NVIDIA GTC 2026】AIチップ市場1兆ドルへ ジェンスン・フアン氏、2行でAIエージェントを構築する「NemoClaw」を発表
ファミマで祝おう!「ウマ娘」5周年コラボが3月15日より開催 アーモンドアイら7名が集結、限定商品5種を順次発売
東急ステイ渋谷 恵比寿が3/17開業 廃棄リネンの活用や「ステイコネクティッド」で新たな滞在価値提案
【日本ハム】新助っ人のライル・リンが入団会見 背番号「38」の強打捕手に木田GM代行も期待
TSMC拠点の3都市が結束 熊本・高雄・アリゾナが半導体MOU締結、日米台の「戦略トライアングル」始動
イラン新指導部、米イスラエルに徹底抗戦を宣言 石油戦略と「消耗戦」でトランプ政権を揺さぶり
チェジュ航空2216便事故、違法コンクリート設置が主因に 費用削減が招いた人災か
【論評】ホルムズ海峡の緊張激化、台湾海峡への波及懸念と対米依存リスク
【速報】台湾半導体の拠点・新竹科学園区の変電所で火災 爆発音と黒煙、半導体工場の供給安定に懸念
トランプ氏、イラン軍「100%壊滅」宣言も各国に護衛艦派遣を要請 非対称戦に米軍も苦慮
TSMC超え狙う「テラファブ」計画、7日後に始動=マスク氏が表明
台湾版アイアンドーム「台湾の盾」構築へ 低コスト兵器でロケット弾迎撃、AIも導入
横浜市旧市庁舎跡地の再開発「BASEGATE 横浜関内」が3月19日開業、歴史的建造物の継承と最新エンターテインメントが交差する
「BASEGATE横浜関内」3月19日開業へ、三井不動産・植田社長「街の起爆剤に」 DeNA南場会長は興行との一体化強調
DeNA南場会長、参入15周年の節目に「世界最高」の街づくりを自負 横浜・関内の新拠点「BASEGATE」で新たな挑戦
星野リゾート、横浜・関内に「OMO7横浜」4月21日開業!名建築・旧横浜市庁舎を再生した「レガシーホテル」の全貌
京急電鉄、横浜・関内の低速電動モビリティ「関内マーロ」を3月19日より本格運行開始
横浜・旧市庁舎が劇的進化!「OMO7横浜」や日本最大級ライブアリーナ集結の「BASEGATE横浜関内」19日開業
SUMMER SONIC 2026、日程別ラインナップ発表!3A・モバイル会員最速先行は3月14日より受付開始
お花見シーズン到來、スマホ充電「ChargeSPOT」が1時間無料キャンペーン 新規限定で実施
【独占】「火はあるが、キッチンがない」AI導入で成果が出ない企業が陥る「致命的な誤解」
TENTIAL、2026年春夏ワークウェアを発表 アスリート愛用のコンディショニング機能を日常に
【独占】AIを「個人のツール」から「組織の戦力」へ引き上げる「経営言語」の視点 年間約5,000万円のコスト削減も
トランプ氏、ホルムズ海峡での中国の護衛要求 応じなければ「米中首脳会談の延期」を示唆
U-NEXT、aiko最新年越しライブを独占配信 過去11作品も一挙解禁
ちゃんみな、有明アリーナ公演をU-NEXTで独占生配信 初のアリーナツアー千秋楽
王貞治氏の精神を次世代へ 福岡ソフトバンク、「レガシー・プロジェクト」の新企画を発表
自民党・上畠神戸市議、SNSでの「民進党操作説」を強く否定 台湾国民に冷静なメディアリテラシーを呼びかけ
台湾民衆党の前主席・柯文哲氏の訪日計画に神戸市議が反発 「司法逃れの入国は認められない」と当局へ働きかけへ
【揭仲コラム】対イラン作戦「エピック・フューリー」が示す台湾防衛への警鐘
米軍KC-135空中給油機がイラクで墜落 「壮絶な怒り」作戦で4機目の損失、乗員5人は安否懸念
トランプ氏「新関税」の狙いは台湾半導体か 301条調査が示唆する米中首脳会談への布石と台湾のジレンマ
【独占】人手不足時代の建設DXの本質とは?家入龍太氏「無駄な移動を減らすことから始まった」
【独占】人口減少時代の都市をどう再設計するか 早稲田大・森本章倫教授が語る「2050年の街づくり」
任天堂まで巻き添えに? ホワイトハウスがWiiゲーム風映像でミサイル攻撃を演出、戦争ミーム化に批判広がる
【独占】台湾企業の日本進出に潜む「法務地雷」とは 社労士・行政書士の丸山翔氏が語る実務の盲点
中東に足止めの台湾人2人、日本政府手配機で成田到着 台湾外交部「日本の支援に感謝」
ホルムズ海峡麻痺で湾岸産油国に151億ドルの損失、サウジは紅海迂回へ
【独占】外国人が日本で踏みがちな「ビザの地雷」とは 行政書士・葉兆智氏が語る現場の実態
【独占取材 4-4】高さ385メートル、日本一へ 三菱地所「TOKYO TORCH」が描く次世代垂直都市の全貌
【独占】フォロワー1.5万人超!在日台湾人インフルエンサーYoYoが教える、観光客がまだ知らない「東京の穴場グルメ」