米国とイランの軍事衝突、世界規模の衝突と物流危機へ発展か イラン専門家が語る「想定外の事態」

イラン系研究者は、米大統領・トランプ氏に残された唯一の選択肢は対イラン爆撃の一段の強化だとしつつ、「しかし、それは問題解決の方法ではない」と指摘した。(写真/AP通信提供)
イラン系研究者は、米大統領・トランプ氏に残された唯一の選択肢は対イラン爆撃の一段の強化だとしつつ、「しかし、それは問題解決の方法ではない」と指摘した。(写真/AP通信提供)

米国とイスラエルによる対イラン軍事行動が開始されてから2週間以上が経過した。戦場では米以連合軍が圧倒的な優位に立ち、多数の軍事目標を破壊。最高指導者ハメネイ師を含む指導層の「斬首作戦」にも成功した。しかし、西側諸国が期待した政権崩壊や民衆蜂起は起きず、米国とイスラエルは現在、進退窮まる状況に陥っている。

さらに、イランによる湾岸諸国への攻撃やホルムズ海峡の封鎖は、世界の化石燃料供給や物流に甚大な影響を及ぼしている。これは世界的なスタグフレーションや金融市場のリスクへと発展する恐れがあり、各国の次の一手をいかに評価するかが焦点となっている。米国のイラン専門家は、政治面において「時間は米国に味方していない」との見解を示している。

中東情勢の次なる局面をどう読み解くか

米シンクタンク「アジア・ソサエティ(Asia Society)」は、米東部時間の金曜日、イラン系アメリカ人の専門家2名を招き、最新の戦況と国際情勢を分析するオンライン対談を再び開催した。登壇したのは、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)のバリ・ナスル教授と、米投資会社レッドバード・キャピタル・パートナーズのパートナー、ハミッド・ビグラリ氏である。

開戦初週の3月3日以来、10日ぶりに行われた今回の対談は、1979年の「イスラム革命」以前にテヘランで生まれ、後に米国へ移住した両氏の知見に基づいたものであり、米国の知識層の間で再び高い関心を集めている。

米シンクタンク「アジア・ソサエティー」は13日、イラン専門家2人を再び招き対談を実施した。米ジョンズ・ホプキンズ大学講座教授バリ・ナスル氏(左)と実業家ハミド・ビグラリ氏(右)。(配信映像より)
米シンクタンク「アジア・ソサエティー」は13日、イラン専門家2人を再び招き対談を実施した。米ジョンズ・ホプキンズ大学講座教授バリ・ナスル氏(左)と実業家ハミド・ビグラリ氏(右)。(写真/配信映像提供)

軍事問題ではなく「政治問題」としての戦争

10日前の前回の対談と比較し、ビグラリ氏は「この衝突の核心はミサイルや空爆の結果ではなく、『エスカレーション・コントロール(紛争拡大の制御)』にある」と指摘した。つまり、いかに「限定戦争」の枠内で自らに有利な結果を導き出すかという点だ。同氏は、この戦争が本質的に「軍事問題ではなく、政治問題である」と分析。「双方がどこまで踏み込む意思があり、相手がどこまで踏み込んでくると予測しているかのに関わる」と述べた。

ビグラリ氏の分析によれば、混乱する情報のなかで米国が一貫して追求しているのは、イランの軍事能力を削ぎ落としつつ、即座の戦火拡大やイラン政権の崩壊を招くような行動は避けるという「限定的な目標」である。一方、イスラエルの目標はより急進的であり、単なる軍事目標を超えた領域にある。

対するイランは、正面切った軍事衝突ではなく、ミサイルや無人機、海上妨害、さらには経済的レバーを用いた「非対称的な圧力」を戦略的に行使している。また、第三者である湾岸諸国は、米国との防衛協調を強化する一方で、水面下では事態の沈静化を模索するという複雑な立ち回りに終始している。 (関連記事: トランプ氏、米中首脳会談の延期を発表 中東情勢緊迫で米国の威信に影 関連記事をもっと読む

イランの新最高指導者モジュタバ・ハメネイ氏。写真は2019年5月31日、イラン・テヘランで毎年恒例の「コッズ・デー」集会に出席した際のもの。(AP)
イランの新最高指導者モジュタバ・ハメネイ氏。写真は2019年5月31日、イラン・テヘランで毎年恒例の「コッズ・デー」集会に出席した際のもの。(写真/AP通信提供)

専門家が語る3つの「想定外」

今回の対談でハミッド・ビグラリ氏は、これまでの戦争の推移において「3つの大きな想定外があった」と述べた。ビグラリ氏はプリンストン大学で天体物理学の博士号を取得後、マッキンゼーのパートナーやシティグループの副会長兼新興市場グローバル代表を歴任した、国際金融與地政学の権威である。

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