米国とイランの軍事衝突は、ミサイル防衛システムの重要性を改めて浮き彫りにした。台湾軍は現在、多層ミサイル迎撃システム「台湾の盾(Tドーム)」の構築を計画している。特にロケット弾の脅威について台湾国防部(国防省)は、既存のミサイル技術を基盤とし、長距離ロケット弾の迎撃が可能な低コストの防空兵器を開発、調達する方針を明らかにした。
台湾立法院(国会)の外交・国防委員会は16日、国防部長(国防相)を招き、「米・イラン間の軍事衝突を教訓とした我が国の防空・ミサイル防衛システムの有効性および低コスト迎撃手段と無人機(ドローン)対処能力の再評価」と題する特別報告を受けた。現在、関連する書面での報告が立法院へ提出されている。
ハイブリッド攻撃に対する防空上の新たな課題
国防部の報告によると、今回の軍事衝突では、米国とイスラエルが戦闘機、巡航ミサイル、ドローンを用いて空爆を実施したことに加え、イランもイスラエルおよび周辺国に対し、弾道ミサイル、巡航ミサイル、ドローンによる複合攻撃(ハイブリッド攻撃)を展開した。この事態は、総合的なミサイル防衛システムにおいて、ミサイルとドローンへの対処能力が、極めて重要な課題となっている状況を指し示しているという。
国防部によれば、中国の波状的で多様なミサイルによる攻撃の脅威や、弾道ミサイルおよび長距離ロケット弾を用いた民生面、軍事面での威嚇の激化に対抗するため、台湾軍は頼清徳総統の指示の下、既存の防空能力を基盤として「台湾の盾」を構築する方針だ。これにより、多層的防衛力、高度な感知力、効果的で精密な迎撃能力を備えた、厳重な防空システムを確立し、国民の生命と財産を守る防護ネットワークを張り巡らせるとしている。
台湾の防空・ミサイル防衛システムについて国防部は、台湾軍は既に早期警戒レーダーおよび多角的な監視システムを配備しており、脅威に対する早期警戒と追跡を行うことで、防空上の脅威に対し、警告を発するまでの時間を短縮していると説明。これにより、防空部隊がいち早く迎撃準備を完了し、迎撃成功率の向上が可能になるという。さらに偵察・情報収集能力、および戦場での生存率を高めるため、新型の移動式レーダーの調達を計画している。
また国防部はまた、傘下の研究機関、国家中山科学研究院(NCSIST)が開発した中層ミサイル防衛システム「天弓4型」の調達を進めており、これをNASAMS(ナサムス)やパトリオットといった防空システムと連携させる方針を明らかにした。同時に、低コストの対ロケット弾防空システムも積極的に導入することで、高・中・低層に及ぶ多層的、重層的な迎撃の防空ネットワークを構築する。これに加え、迎撃効率を最大限に高めるため、システムの統合や分散配置を進める方針だ。
AIを活用した戦場管理システム導入へ
全体的な作戦の遂行効率向上に向け、ハイテクおよびAI(人工知能)技術を活用した戦場管理システムの導入を計画している点も強調された。これにより、各種の防空兵器やセンサーを統合し、脅威の種類を迅速に識別することが可能になる。また未来の戦争形態に対応するため、利用可能な防空リソースに基づき作戦上の助言を提供して意思決定にかかる時間を短縮し、システムの反応速度を向上させ、飛来する目標を効果的に迎撃できるようにする。
低コストの迎撃手段について国防部は、「台湾の盾」は高・中・低高度の3層防衛体系で構築されるが、敵が大量の安価な兵器を用いて台湾側の防空ミサイルを消耗させる事態を防ぐため、長距離ロケット弾の脅威に対しては、既存のミサイル技術を基盤とした低コスト防空兵器の開発と調達を行うと説明。適切な防衛能力を確立することで、防衛作戦における強靭性(レジリエンス)を確保し、国民の生命と財産の安全を守る。さらに、デコイ(おとり)、ダミー目標、GPS妨害システム、および脅威信号発生器といった、撹乱や妨害を目的とした受動的防衛手段の調達、配備も並行して進めており、敵の長距離ロケット弾による攻撃被害を最小限に抑える構えだ。
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編集:平松靖史 (関連記事: 「台湾の盾」は防衛の切り札か、金食い虫か 始動したAI防空網に退役大將が警告「致命的な死角」 | 関連記事をもっと読む )

















































