インド政府は、国内の半導体製造能力を強化し、世界的な製造拠点への転換を加速させるため、1兆ルピー(約1.8兆円)を超える巨額基金の創設を計画している。
米ブルームバーグ通信が関係者の話として伝えたところによると、同基金は半導体設計プロジェクト、製造装置、およびサプライチェーン構築計画に対して高額な補助金を提供するもので、早ければ2〜3カ月以内に正式発表される見通しだという。ただし、計画は現時点で最終決定ではなく、詳細は今後変更される可能性がある。
India plans to unveil an $11 billion fund aimed at bolstering local chipmakinghttps://t.co/zRjFiPDcXk
— Bloomberg (@business)March 12, 2026
米CHIPS法をモデルに自給自足狙う
インド首相・ナレンドラ・モディ氏は就任当初から、半導体産業の発展を強く推進し、独自の戦略方針を策定してきた。人工知能(AI)やスマートフォン、自動車、家電向け需要の急増に対応し、自給自足を実現するため、インド政府は国内半導体産業への支援をさらに拡大する構えだ。
実際のところ、今回の基金設立に向けたインドの動きは、米国の「CHIPSおよび科学法(CHIPS法)」を大きくモデルにしたものといえる。ただし、米国政府が投じる520億ドル(約7.8兆円)という規模と比較すれば、その額は下回っている。

「アップル・モデル」の再現を模索
インド政府は、国内の豊富なエンジニア人材と手厚い補助金政策を武器に、世界最大の人口を抱える同国へ世界的な半導体メーカーを誘致したい考えだ。この企業誘致モデルは、かつて米アップル(Apple)の製造拠点を同国に誘致した手法を踏襲している。現在、同社が展開する「iPhone」の約25%がインド国内で組み立て・生産されるまでに成長した。
一方で、海外メディアによる事前報道に対し、同基金を管轄するインド電子情報技術省(MeitY)は、現時点で公式な回答を控えている。
関係者によれば、新たな半導体優遇措置は、インド中央政府が国内製造と輸出の促進を目的に提供しているスマートフォンおよび関連部品への補助金制度と統合される見込みだ。現行の補助金プログラムが3月31日に期限を迎えるため、政府高官とスマートフォンメーカー各社は、次期制度の詳細について集中的な協議を開始している。

2032年までに「世界のリーダー」に匹敵
今回の新たな補助金は、2021年に導入された100億ドル(約1.5兆円)規模の奨励策を基盤として設計される。同奨励策は、半導体プロジェクトにおける工場建設費用の半分を国が負担すると確約したもので、これにより米メモリー大手のマイクロン・テクノロジー(Micron Technology)をはじめとする複数の外資系企業の誘致に成功した。
マイクロンは現在、インド西部グジャラート州において、半導体の組み立て・検査(後工程)工場の建設を進めている。
また、インドの複合企業タタ・グループ(Tata Group)もモディ氏の呼びかけに応じ、同氏の地元であるグジャラート州に半導体ファウンドリ(受託製造)工場と独立型のパッケージング工場を建設中だ。さらに、政府の奨励プログラムの適用を受けた外資系企業には、台湾の受託生産最大手、鴻海精密工業(Foxconn)も含まれる。同社はインド国内に検査・組み立て工場を設立するとともに、政府の補助金を活用し、半導体製造やパッケージングに関連する複数の合弁事業を拡大させている。
巨額の資金投入の背景には、明確な国家目標が存在する。インド政府は半導体産業に照準を合わせ、台湾、韓国、米国といった先行国に追いつくことを目論んでいる。インド電子情報技術相・アシュウィニ・バイシュナウ氏は2025年11月、「インドの目標は、2032年までに世界の主要なリーダーに匹敵する半導体製造能力を構築することだ」と野心的な目標を掲げている。
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編集:梅木奈実
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