韓国F15K戦闘機の接触事故、退役控えた操縦士の空中自撮りが原因と判明

韓国空軍の現役F15K戦闘機(群山空軍基地駐留)。(写真/米軍DVIDSシステム提供)
韓国空軍の現役F15K戦闘機(群山空軍基地駐留)。(写真/米軍DVIDSシステム提供)

韓国監査院はこのほど、2021年に発生した戦闘機の空中接触事故に関する調査報告書を公表した。当初、F15K戦闘機2機による接触は単なる不測の事態と見られていたが、調査の結果、驚くべき実態が明らかになった。操縦士や副操縦士、さらには僚機の操縦士が飛行中にスマートフォンで「写真や動画の撮影」に興じていたことが、機体の損傷と深刻な規律違反を招いたという。

「最後の飛行」を記念した撮影

英国放送協会(BBC)の報道によると、事故は韓国中部の都市・大邱(テグ)の上空で発生した。報告書は、僚機の操縦士の1人が、所属部隊での「最後の飛行」任務を記念するため、帰投中に規則に違反して私物のスマートフォンを取り出し、自撮りや動画撮影を始めたと指摘している。

この明白な規則違反行為について、監査当局はさらに由々しき実態を把握している。こうした行為は長期にわたって黙認され、戦闘機の操縦士の間で蔓延する悪習となっていたという。

韓国空軍の現役F15K戦闘機(群山空軍基地に配備)。(米軍DVIDSシステムより)
韓国空軍の現役F15K戦闘機(群山空軍基地に配備)。(写真/米軍DVIDSシステム提供)

僚機が撮影していることに気づいた別の戦闘機の操縦士は、無線で制止するどころか、同乗していた副操縦士に対し、僚機を撮影するよう指示した。さらに、より見栄えの良い映像を撮ろうと、僚機の操縦士は事前の通告なしに機体を急上昇させて反転(フリップ)させるという危険な機動を行い、カメラに向けて操縦技術を誇示しようとした。

この突発的な機動により、2機の距離は瞬時に縮まった。撮影を手伝っていた戦闘機は衝突を避けるため緊急降下したが間に合わず、高額なF15K戦闘機2機が空中で接触した。結果として、自機の左翼と僚機の尾部安定翼が損傷する事態となった。

不幸中の幸いにも、接触事故が発生したものの操縦士は全員無事に基地へ帰還した。しかし、事後の機体修理費用は8億8000万ウォン(約9,000万円)という巨額に上った。

賠償を巡る論争 請求額の10分の1に減額

韓国空軍は当初、すでに退役して民間航空会社に転職しており、最初に規則違反の撮影を行った僚機の元操縦士に対し、修理費用8億8000万ウォンの全額賠償を求めた。しかし、この元操縦士は処分を不服として裁判所に提訴した。最終的に裁判所は、賠償額を請求額の10分の1となる8800万ウォン(約900万円)に減額する判決を下した。

裁判所は、空軍側が現役操縦士による撮影機材の私的利用に対する管理監督を怠っており、一定の管理責任を負うべきだと指摘している。さらに判決文では、元操縦士の服役期間中の飛行記録が良好であったことや、事故発生後に冷静かつ専門的な技術を発揮し、損傷した機体を安全に基地まで帰還させて被害の拡大を防いだ点も考慮された。

F15K戦闘機は、米軍のF15E「ストライクイーグル」をベースに、米ボーイングが韓国空軍向けに特別に開発した派生型であり、現在59機が運用されている。同機はAN/APG-63アビオニクスシステムを搭載し、空対空および空対地などの総合的な作戦能力を備えている。

​編集:柄澤南

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