【独占インタビュー】習氏が「統一」を語らなかった理由 張五岳氏が読む頼政権と中台関係の行方

張五岳氏は、「鄭・習会談」後の北京の政治的シグナルには善意が含まれており、頼清徳総統が善意を示そうとしているのも事実だが、民進党と共産党の相互不信により、その善意が往々にして取り逃がされていると分析する。(写真/柯承恵撮影)
張五岳氏は、「鄭・習会談」後の北京の政治的シグナルには善意が含まれており、頼清徳総統が善意を示そうとしているのも事実だが、民進党と共産党の相互不信により、その善意が往々にして取り逃がされていると分析する。(写真/柯承恵撮影)

台湾最大野党・国民党の鄭麗文(てい・れいもん)主席と中国共産党の習近平国家主席による会談において、習氏は「統一」という言葉をほとんど使わず、「一国二制度」についても口を閉ざした。淡江大学両岸関係研究センターの張五岳(ちょう・ごがく)主任は台湾メディア『風傳媒(Storm Media)』の取材に対し、中国側が「鄭・習会談」を通じて「柔軟な姿勢」を示したのは確かだが、それはトランプ米大統領との「米中首脳会談」で「強硬な姿勢」を繰り出すための布石に過ぎないと指摘。統一に触れなかったことは、北京の対台政策の変化を意味するものではないと分析した。また、頼清徳総統が両岸関係に善意を示そうとしても、結果として「敵意の螺旋(スパイラル)」に陥っている現状について警鐘を鳴らした。

北京が「鄭・習会談」で見せた緩和の兆しと、その真意

「鄭・習会談」を経て、両岸関係には一時的な緩和の兆しが見える。中国側は「対台湾10項目の政策を発表し、上海や福建の住民による台湾本島への個人旅行の開放を呼びかけた。さらに、ウルムチ、西安、ハルビン、昆明、蘭州など、両岸直行便の拡大と復便にも意欲を示している。

外部からは、北京の対台政策が「武力による統一の圧力」から「交流の拡大」へとシフトしたのではないかとの期待も寄せられている。しかし、トランプ政権下での米中首脳会談後、両岸関係はどのような展開を見せるのか。張五岳氏は以下のように分析する。

20260421-淡大兩岸關係研究中心主任張五岳21日出席「從習鄭會前瞻川習會,探討中共對台政策」座談會。(顏麟宇攝)
淡江大学両岸関係研究センターの張五岳主任は風伝媒(Storm Media)に対し、北京はトランプ米大統領との「米中首脳会談」まで「強硬な姿勢」を留保しているとし、統一に言及しないことは政策転換を意味するものではないと述べた。(写真/顔麟宇撮影)

張五岳氏の分析、北京が「鄭・習会談」で示した「善意」の正体

張五岳氏によれば、「鄭・習会談」における対台政策は、主に二つの基盤の上に成り立っている。第一に、国民党と共産党のプラットフォームにおける「92年コンセンサス、および台湾独立反対」の合意。第二に、「外部勢力の介入反対」という北京が強調する明確なレッドラインだ。これらを前提とし、双方は「平和的な融合発展」「中華民族」「両岸は一つの国家に属する」といったソフトな主軸を強調した。これらは概ね想定内の展開と言える。

「鄭・習会談」において、北京が一定の善意を示したことは明らかだ。中国側は2017年の第19回党大会以来、「平和統一」を掲げ、第20回党大会後には「新時代の党による台湾問題解決の全体方略」を打ち出した。この方略は「平和統一による中華民族の偉大なる復興」を基調としている。王滬寧(おう・こねい)全国政協主席も直近の会議で両岸統一を強調している。

しかし、注目すべきは、宋濤(そう・とう)国務院台湾事務弁公室主任や習近平氏が鄭麗文氏を饗応した際、基本的に「平和統一」という言葉を使わなかった点だ。 (関連記事: 「台湾は中国ではない!」教科書検定の是正求める日台請願運動集会、文京区で26日開催 関連記事をもっと読む

なぜ「統一」を封印したのか 北京の高度な計算

「平和統一」をあえて語らなかった理由は明確だ。台湾国内において統一支持派は少数であり、公の場で統一を強調しすぎれば、中国側が今回アピールしたかった「平和発展」や「平和交流」というメッセージがかき消されてしまう恐れがあるからだ。

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