台湾で「発芽ジャガイモ」輸入緩和の波紋 農業部と衛福部の責任の境界はどこに

2026-04-27 09:09
台湾で年間20万トン以上消費されるジャガイモ。(資料写真、台北農産運銷提供)
台湾で年間20万トン以上消費されるジャガイモ。(資料写真、台北農産運銷提供)

台湾では年間20万トン以上のジャガイモが消費されており、その約7割がフライドポテトやポテトチップスなどの加工品として利用されている。特にフライドポテトは子供たちに絶大な人気を誇り、調査によれば小学生の6割以上が週に一度はファストフードを口にしている。親たちにとっても、それは子供をなだめるための「ハッピーフード」だ。

しかし、その原材料の多くを占める米国産ジャガイモの輸入規制が、2026年2月6日、農業部によって密かに緩和された。かつては「1個でも発芽していればバッチ全体を返品」という鉄則があったが、これが撤廃されたのだ。新基準では、ソラニン含有量が200ppmを超えない限り、発芽、腐敗、カビのある個体が混じっていても輸入が可能となった。指定工場で問題の個体を丸ごと廃棄すれば、残りはスライスされ、子供たちの手に渡るフライドポテトへと姿を変える。

旧規定 vs 新制度、「全量返品」から「個別処理」への転換

​台湾は毎年約14〜16万トンのジャガイモを輸入している。卓栄泰・行政院長が掲げた「1個ずつ取り出して検査する」という方針は、現実的には不可能であり、無責任との批判も免れない。

この「発芽ジャガイモ」1個が、2つの政府部会の責任の境界線を浮き彫りにした。農産物の検疫(病虫害・芽体・植物防疫)を担う「農業部」と、食品安全(腐敗・カビ・ソラニン測定・衛生基準)を管轄する「衛生福利部(食薬署)」だ。農業部が「衛生福利部が食安をチェックする」と主張する一方で、食安の責任者である食薬署は、現時点で具体的な説明を避け、沈黙を貫いている。

両部会が責任を押し付け合っている結果、緩和された新ルールで輸入されたジャガイモが、どこの工場へ運ばれ、誰が品質管理を監視しているのか、あるいは輸入業者が目視で選別しているのかといった「トレーサビリティ(追跡可能性)」の仕組みは、未だ公開されていない。

フライドポテトなどファストフードのイメージ(pexelsより)
フライドポテトは子どもたちからの人気が高い。(資料写真、pexelsより)

「1ミリの芽」も許さなかった厳格な検疫の終焉

​2018年以来、台湾は輸入ジャガイモに対して極めて厳格な水準を維持してきた。芽の長さが5ミリを超えればバッチ全体を廃棄または積み戻してきた。理由は単純だ。ジャガイモの芽には天然の神経毒であるソラニンが大量に含まれており、成人は200ミリグラム、子供はわずか20ミリグラムで中毒を引き起こす可能性がある。さらに、この毒素は高温の油で揚げても分解されない。
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農業部は、米国での輸出前に発芽抑制剤を散布し、検疫証明書を添付することを義務付けていると説明する。到着後に発芽や腐敗が確認されても、ソラニンが基準値内であれば、指定工場で封印・処理される。杜麗華・農業部防検署署長は動画を通じて「発芽や腐敗、毒素を含むジャガイモが市場に出ることは絶対にない」と強調し、食薬署も「検疫」と「衛生」の二重のチェック体制を敷いていると主張している。

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