【インタビュー】陳培哲氏が鳴らす警鐘「10年後、台湾の臓器移植は中国依存に陥る恐れ」

2026-05-22 12:41
中央研究院の陳培哲院士は『新新聞』のインタビューで、ゲノム編集技術が「異種臓器移植」の新たな臨床時代に正式に突入したと指摘した。(撮影・張瀞文)
中央研究院の陳培哲院士は『新新聞』のインタビューで、ゲノム編集技術が「異種臓器移植」の新たな臨床時代に正式に突入したと指摘した。(撮影・張瀞文)

CRISPR-Cas9をはじめとする遺伝子編集技術の爆発的な進歩により、世界のバイオテクノロジーはかつてない破壊的変革の真っただ中にある。台湾・中央研究院院士であり、台湾大学医学部教授を務める陳培哲氏は「風傳媒」の単独インタビューに応じ、遺伝子編集が「異種間臓器移植」という臨床の新紀元に正式に足を踏み入れたと指摘する。

陳氏は、この分野における米中両大国の覇権争いを深く分析するとともに、日本、韓国、中国、台湾のバイオ産業の現状を鋭く対比した。台湾が基礎研究を軽視し、半導体産業への一極集中とバイオ分野の「投機的風潮」によって人材の空洞化を放置すれば、10年後には臓器移植の面で完全に中国に依存せざるを得なくなると警告を発している。

遺伝子編集による医療革命――「豚の臓器」から臨床的突破へ

陳氏が指摘するように、世界はいま、移植用臓器の深刻なドナー不足に直面している。この課題を解決するため、科学界はノーベル賞クラスの遺伝子編集技術を駆使し、豚の臓器を人体に移植可能な「救命の切り札」へと改造しようとしている。

過去、豚の臓器をそのまま人体に移植しても、激しい免疫の拒絶反応によりわずか1時間で機能不全に陥っていた。しかし現在、科学者たちは豚の受精卵に遺伝子編集を施すことで、この壁を根本から打ち破った。

第一に、人体の免疫システムによる拒絶反応を引き起こす豚の20~30の重要な遺伝子を破壊する「ノックアウト」。第二に、人体との適合性を高めるため、約30の「ヒト遺伝子」を組み込む「ノックイン」。そして第三に、豚のゲノムに潜む内在性レトロウイルス(PERVなど)を遺伝子編集によって徹底的に破壊し、移植の安全性を確保する「ウイルスクリアランス」である。

このように遺伝子工学を駆使して改造され、ヒトの遺伝子を一部組み込まれた豚は、もはや従来の意味での豚ではない。陳氏は「いささか不気味に聞こえるかもしれないが、これぞまさに『神による創造』にも等しいテクノロジーなのだ」と評する。

科学的懸念の払拭――体細胞移植は次世代の遺伝子に影響しない

この驚異的な技術に対しては、倫理面や遺伝的な側面から「遺伝子編集された豚の臓器を移植された患者が子供をもうけた場合、その編集された遺伝子が次世代に遺伝するのではないか」という懸念がしばしば寄せられる。 (関連記事: トランプ氏、台湾半導体は「米国から盗んだ」と再主張 企業に「荷物をまとめて米国へ」 関連記事をもっと読む

陳氏はこの疑問を科学的根拠に基づいて明確に否定する。異種間臓器移植はあくまで「体細胞移植(Somatic Cell Transplantation)」であり、「生殖細胞(Germline Cells)」を改変するものではない。編集された遺伝子は移植された特定の臓器内にとどまり、患者の受精卵に移行することは絶対にないため、次世代の遺伝に影響を及ぼすことはあり得ない。この科学的事実は、医学界および倫理学界においても広く支持され、コンセンサスを得ている。

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