C型肝炎治療後も「脂肪肝」に注意 肝がんリスク約2倍、台湾大学病院が長期研究

台湾大学病院と国内の複数の医学センターによる最新研究で、C型肝炎の治癒後も肝がんリスクが残ることが明らかになった。写真はイメージで、記事の事例とは関係ありません。(資料写真、Unsplashより)
台湾大学病院と国内の複数の医学センターによる最新研究で、C型肝炎の治癒後も肝がんリスクが残ることが明らかになった。写真はイメージで、記事の事例とは関係ありません。(資料写真、Unsplashより)

C型肝炎ウイルスの排除は医学的に大きな到達点だが、それだけで肝細胞がんのリスクが完全になくなるわけではない。台湾大学医学部附属病院(NTUH)の研究チームが主導した大規模な長期コホート研究で、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)治療によりウイルスを排除した後も、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)を伴う患者では、長期的に肝細胞がん(HCC)を発症するリスクが有意に高いことが明らかになった。

研究成果は、世界有数の査読付き消化器病学専門誌『Gut』に掲載された。

台湾大学病院の研究チームが主導

​本研究は、台湾大学医学部附属病院新竹分院の張鈺屏医師と、同院内科部の陳韻竹医師が主導した。研究全体は、同院副院長の高嘉宏教授と、肝炎研究センターの劉振驊教授が統括した。

ウイルス排除だけでは不十分な理由

DAA療法の導入は、C型肝炎治療を大きく変えた。現在では、95%以上の患者が短期間の経口薬治療によって、血中からウイルスが検出されなくなる「持続的ウイルス学的著効(SVR)」を達成できる。この成果により、肝細胞がんの全体的な発症リスクは約80%低下するとされる。

しかし、長期的な追跡調査では、依然として一定割合の患者が肝細胞がんを発症している。今回の研究は、その理由を明らかにし、治療後も特にリスクが高い患者群を特定することを目的に実施された。

MASLDが残存リスクの要因に

​研究チームは、肥満、インスリン抵抗性、脂質異常症などの代謝機能障害に起因する脂肪性肝疾患であるMASLDが、ウイルス排除後も発がんリスクを持続させる主要な要因であることを明らかにした。

C型肝炎ウイルスの排除に成功した後もMASLDを伴う患者は、MASLDを伴わない患者と比べ、肝細胞がんの発症リスクが約2倍に達していた。この結果は、同チームが2025年に医学誌『Journal of Hepatology』で発表した研究成果をさらに発展させたものだ。

今回の研究では、MASLD患者の中でも、特に危険性が高いグループについても分析した。その結果、以下の2つの要因がある場合、肝細胞がんリスクがさらに約2倍に高まることが分かった。

  • 高度な肝脂肪化、すなわち軽度ではなく肝臓に脂肪が多く蓄積した状態。
  • 糖尿病または糖尿病前症、すなわち正常血糖の患者と比べて糖代謝に異常がある状態。

研究チームは、原因となるウイルス感染が解消された後も、代謝機能障害が肝発がん、すなわち肝細胞がんが発生する生物学的プロセスを持続的に促進していると結論づけている。

治療後の長期管理に示唆

​NTUHは、今回の研究結果について、世界の医療現場におけるC型肝炎治療後の長期的な経過観察の在り方に重要な示唆を与えるものだとしている。
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ウイルス排除を治療の「ゴール」と捉えるのではなく、ウイルス学的な状態に加え、代謝系の健康状態も考慮した、よりきめ細かいリスク層別化が必要だという。MASLDを伴う患者、とりわけ高度な肝脂肪化や血糖異常を持つ患者については、肝細胞がんの発症に対するより綿密な経過観察が求められる。

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