台湾海峡は米中の「共同管理」へ向かうのか 台湾元高官が首脳会談後の危機を警告

2026-05-19 15:19
台湾の蘇起・前国家安全会議秘書長兼前大陸委員会委員長は、今回の米中首脳会談において、中国の習近平国家主席がトランプ米大統領の政治的弱点を確実に握ったとの認識を示した。(顔麟宇撮影)
台湾の蘇起・前国家安全会議秘書長兼前大陸委員会委員長は、今回の米中首脳会談において、中国の習近平国家主席がトランプ米大統領の政治的弱点を確実に握ったとの認識を示した。(顔麟宇撮影)

台湾の元国家安全会議秘書長で元大陸委員会委員長の蘇起氏は17日、直近の米中首脳会談について、中国の習近平国家主席がトランプ大統領の政治的急所を正確に突いたとの見解を示した。トランプ氏はロシア・ウクライナ戦争やイラン情勢、インフレ、11月の中間選挙など複数の難題を抱えて中国の協力を必要としており、今回の北京訪問で得た成果もボーイング機の受注や農産物の対中輸出、レアアースなど短期的な項目にとどまったと分析した。

一方、習氏は常に長期的な視野で戦略を描いており、今回の会談後に共同声明や文書が発表されなかったことを意に介していないと指摘した。今年中に両首脳が顔を合わせる機会はさらに3回残されており、中でも中間選挙前の9月24日にトランプ氏が習氏をホワイトハウスに招待したことが最も重要だとの認識を示した。

蘇氏はまた、中国が2027年に「戦略的自制力」の試練を迎えるとの見方を示した。習氏が今回の会談で見せた台湾問題へのアプローチは、直接的な打撃ではなく「釜底抽薪(足元の支えを根本から取り払うこと)」英語で言えば「pull the carpet under your feet」であると説明した。過去10年間、北京の台湾に対する姿勢は両岸の平和交渉や統一促進から、現在では「米中交渉」へと移行していると述べた。

その上で、トランプ政権が今後も「反中・台湾防衛」の姿勢を維持した場合、最終的に中国大陸側が独自に解決に動く可能性があるとし、「台湾に残された空間は限られており、それが最後の空間だ」と警告した。

蘇氏は「今回の米中首脳会談は転換点であり、台湾の民衆は認識を改める必要がある。米国は現在多くの課題を抱えており、9500マイル離れた台湾まで手が回らない。米国が助けに来てくれると思ってはならない」と訴えた。

20260517-前國安會秘書長蘇起17日出席「川習會對台灣的機會與挑戰」座談會。(顏麟宇攝)
2026年5月17日、元国家安全会議秘書長の蘇起氏が「米中首脳会談が台湾にもたらす機会と課題」座談会に出席した。(顏麟宇撮影)

駐在大使の6割が空席、深刻化する米外交体制の人員不足

対外関係協会と啓思民本基金会は17日、「米中首脳会談が台湾にもたらす機会と課題」と題する座談会を開催した。約20分間の講演を行った蘇氏は、大局的な視点からトランプ氏の外交姿勢を「短期的な思考であり、世界秩序に対する概念が欠如している」と批判し、これが世界各地で火種をまく原因だと指摘した。

蘇氏はバイデン政権時代のサリバン前大統領補佐官(国家安全保障担当)の発言を引用し、トランプ氏が伝統的な外交体制を軽視した結果、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)や国務省で深刻な人材流出が生じていると説明した。NSCの職員数は180人から36人へと激減し、国務省も人員が20%減少した。中でも台湾を管轄する東アジア・太平洋局および南アジア局への影響が特に大きいという。

さらに、米政府を代表する各国の駐在大使についても、トランプ政権発足から1年以上が経過した現時点で約6割のポストが依然として空席のままであると述べた。 (関連記事: 米専門家、トランプ氏の台湾政策に警鐘 対台湾武器売却の取引材料化に懸念 関連記事をもっと読む

今後の首脳会談については、9月24日のホワイトハウス訪問のほか、11月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議、12月に米フロリダ州で予定される主要20カ国・地域(G20)首脳会議が予定されている。

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