丸井グループが展開する日本初の大規模な木造商業施設「渋谷マルイ」の建て替えプロジェクトについて、木造建築を採用した背景や将来展望を明らかにするべく、株式会社丸井店舗プロデュース部渋谷開店準備室課長、SC経営士の磯部亜矢氏が、台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の単独取材に応じた。

サステナビリティを「見える形」に、渋谷を起点に6ステークホルダーへ
磯部氏は、木造建築を採用した最大の理由について、丸井グループが大切にしているサステナブルな企業であり続けたいという想いを形にするためだと語る。同グループはこれまでもダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックスで1位を獲得するなど、投資家向けの領域で高い評価を受けてきた。しかし、一般消費者にはその取り組みが十分に浸透していないという課題があったと指摘した。
そのため、情報発信力の高い渋谷を起点に、従来の株主だけでなく、顧客や将来世代などを含む「6ステークホルダー」全体に対して、同社の理念をより広く届けていきたい、そんな思いがあると語った。
構造材の約6割に木材、約2,000トンのCO₂削減を試算
技術面および環境へのメリットに関して、新施設は構造全体の約6割に木材を使用している。磯部氏によると、表面的な装飾だけでなく、柱や各フロアの床(CLT)などの構造部分にも木材をしっかりと組み込むことで、従来の鉄骨造と比較して約2000トンのCO2排出量を削減できる試算となっている。
さらに、竣工に向けてさらなるCO2削減の精査を進めるほか、開業後の施設運営にかかる電力もすべて再生可能エネルギーで賄う方針であり、建設から営業に至るまで徹底した環境負荷の軽減を図っていくという。
「好きが駆動する経済」理念に共感するテナントと共創する消費体験
生まれ変わる渋谷マルイが提供する消費体験について、磯部氏は丸井グループの経営戦略である「好きが駆動する経済」がベースになっていると語る。顧客が「好き」と思うものを購入する行動が、結果的にサステナブルな商品や環境貢献につながるという体験設計を目指していると言う。
一見するとこれまでの買い物と変わらないように見えるかもしれないが、理念に共感したテナントと協働し、顧客へその取り組みの価値を丁寧に伝えていくことに力を入れている。 (関連記事: 【独占】森ビルが推進する「立体緑園都市」構想の全貌 港区・ヒルズエリアから台湾へ、国際都市戦略と未来への展望 | 関連記事をもっと読む )
建て替えへの葛藤と決断、「商業施設だからこそできること」
このような新しい消費体験を実現するための舞台として、渋谷マルイの建て替えプロジェクトが位置づけられている。商業施設の建て替えは、新たな資源消費と廃材の発生という課題をともなう。そのため磯部氏自身も「本当に環境にとって正しい選択なのか」という葛藤があったと明かす。しかし、多くの人が訪れる商業施設だからこそ、人々のマインドセットを変える大きなきっかけを生むことができる、そう考え、建て替えを通して持続可能な価値を広く届けることを決断した。














































