小池博史の最新作『世界望郷の旅』が下北沢で世界初演、近未来版「雪女」で問う記憶の尊厳

演出家小池博史最新作『世界望郷の旅』が6月に世界初演、多国籍キャストが人造人間の物語を通じてAI時代の人間性を問う。(写真/株式会社サイ/小池博史ブリッジプロジェクト - ODYSSEY提供)
演出家小池博史最新作『世界望郷の旅』が6月に世界初演、多国籍キャストが人造人間の物語を通じてAI時代の人間性を問う。(写真/株式会社サイ/小池博史ブリッジプロジェクト - ODYSSEY提供)

空間演出家であり作家、振付家としても国際的に活動する小池博史の最新作『世界望郷の旅』(英題:Journey to World Nostalgia)が、2026年6月18日から24日にかけて、東京・下北沢のザ・スズナリにて世界初演される。本作は、株式会社サイおよび小池博史ブリッジプロジェクト-ODYSSEYが制作を手掛け、日本の外務省、在日マレーシア大使館、世田谷区が後援、在日インド大使館からも期待が寄せられている注目作である。

「雪女」を近未来的に再解釈

​本作は、日本の怪談「雪女」を近未来的な視点から再解釈したダンス・シアター作品だ。物語の舞台となるのは、人工的な記憶を埋め込まれ、25歳で死ぬように設計された「25歳の赤ん坊」と呼ばれる人造人間たちが存在する世界。知能は大人でありながら、心は新生児という彼らには親も過去も存在せず、ただ国家によって捏造された記憶だけが与えられている。彼らが愛を知り、死を意識し、自らの生の尊厳を叫び始めたとき、統制されたシステムにバグが生じ始めるという、罪と罰、そして未知の世界への郷愁(ノスタルジア)を描く壮大なエポックとなっている。

演出の小池氏は、本作がもともと2019年に香港で制作される予定だったものの、パンデミックにより中断を余儀なくされた経緯を明かしている。当初の構想から変遷を経て、現在は「記憶の真正性」や「AI駆動型の世界における個人の尊厳」という、より現代的かつ根源的な問いを内包する作品へと昇華された。

アジアの多才な表現者が集結

​舞台を彩るキャストには、マレーシアの舞踏家Lee Swee Keong、インドの俳優・舞踊家Moon Moon Singhをはじめ、能役者の今井尋也、舞踊家の池野拓哉、日本舞踊家の壱弥、クラシックバレエ出身の津山舞花、パルクールアーティストのジャスティス・エドワーズ、河合ケネディ、俳優の綾田將一といった、アジア各国の多才な表現者が集結した。音楽は下町兄弟と太田豊が担当し、ラップやサックス、和楽器などを融合させたジャンルレスな音響空間を構築する。

上演時間は約95分(休憩なし)で、全9公演が予定されている。チケットは一般前売6,000円、25歳以下(U25)3,500円で販売中。また、本作は2026年7月に東京・木場にオープン予定のアート拠点「Odyssey Creative Center (OCC)」の始動に向けたプレ・プロジェクトとしての側面も持っており、国際共同制作の新たなハブとしての役割が期待されている。

編集:小田菜々香

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