中台直行便、7月に2路線拡大へ 中国人観光客の訪台再開に向け前進か
中国の航空会社が直行便2路線を新設・再開したことは、中国人観光客の台湾訪問再開へ向けた前向きなシグナルとして受け止められている。写真は松山空港から離陸の準備をする上海航空の機体。(中央社)
台湾最大野党・国民党の鄭麗文・主席(党首)と中国の習近平国家主席による「鄭・習会談」の開催後、中国政府は台湾優遇の10項目(恵台政策)を発表した。その中には中台間の直行便拡大や、上海市および福建省の住民に対する台湾本島への個人旅行の解禁が含まれた。最近、観光面での中台交流に一定の進展が見られ、中国の春秋航空が浙江省寧波市と台湾南部の高雄市を結ぶ直行便の再開を発表したほか、中国東方航空も四川省成都市と台湾中部の台中市を結ぶ直行便の新規就航を予定している。両路線とも夏休み期間に入る7月上旬から運航を開始する。直行便の就航都市拡大は、中国人観光客の台湾訪問再開に向けた重要な一歩と見られている。
春秋航空は寧波-高雄の直行便について、7月4日から毎週火曜日と土曜日に各1便を運航すると発表した。同路線は過去にも運航されていたが、コロナ禍における旅客減少の影響で運休を余儀なくされていた。一方、中国東方航空は成都-台中の直行便を7月1日から毎週水曜日と日曜日に週2便運航する予定だ。
台湾を訪れる中国人観光客数はピーク時の2015年には延べ400万人に達した。しかし、2020年以降は新型コロナウイルス感染症流行の影響を受け、中台間の人の往来は凍結状態に陥った。現在、台湾人観光客にとって中国は人気の旅行先となっている一方で、中国人観光客の台湾訪問は依然として解禁されておらず、中国政府がいつ解禁に踏み切るかに各方面の注目が集まっている。こうした中、中国の航空会社による寧波-高雄、成都-台中の2路線の就航は中台間の旅客往来に関するポジティブなシグナルと言え、「一歩前進」したように見える。観光業界関係者は風傳媒の取材に対し、中国人観光客の台湾訪問が実現するかどうかは、今後の「ある一つの点」にかかっていると分析する。
実績の蓄積が中国人観光客の台湾訪問再開に寄与
台湾のシンクタンク「前瞻観光政策研究室」創設者、黄正聡氏は台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』に対し、今回中国の航空会社による成都-台中路線の新設に台湾側が同意した背景について、自身の見立てとして「目的地が台中であることが関係している」と指摘した。中台路線の運航は主に台湾北部の桃園国際空港に集中しているため、北部以外の住民が中国との往来を必要とする場合、わざわざ北上して搭乗しなければならず、日程調整の面で不便を強いられていた。今回の成都-台中の新路線開設により、成都への往来が必要な多くの人々にとって、少なくともわざわざ台湾北部へ向かう手間が省けることになる。
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さらに黄氏は、成都市が典型的な観光都市ではなく、多くの中国大陸出身の配偶者や台湾企業関係者にとっても渡航需要があると指摘。「このような事例が多く積み重なり、徐々に実績が蓄積されていくことは、最終的に中国人観光客の台湾訪問再開にとってプラスに働く」との見方を示した。
台湾の航空会社の相互就航が鍵
今回の中台直行便の新設は、中国人観光客の台湾訪問実現に向けた希望の光が強まっていることを意味するのか。観光業界関係者は風傳媒の取材に対し、通常、中台路線の拡大については、中国の航空会社が新たな中台路線を開設すれば、台湾の航空会社も参入して同路線に就航することになると説明する。しかし、今回の成都-台中新路線については、台湾側のどの航空会社が相互就航するのか、現時点では何の発表もなされていない。
同関係者はさらに、「中国の航空会社がすでに新路線の開設申請を行い認可を得た以上、台湾側の航空会社がそれに追随して相互就航するかどうかが1つの観察ポイントになる」と指摘している。仮に今回、中国の航空会社のみが就航し、台湾の航空会社に就航の意向がないとすれば、中国人観光客の台湾受け入れが全面的に始動する兆候はまだ見られないことを意味するという。新路線が採算ベースに乗るかどうか不透明なため、業界としては当面様子見の姿勢を取らざるを得ないという。
とはいえ、同関係者は全体的な見解として、新路線の拡大自体は歓迎すべき動きだと考えている。これは、中台双方が今後、同様の方式でより多くの直行路線を段階的に開放する可能性を示唆しているためだ。「小規模な開放であっても、無いよりはまし」との見方だ。
中国は「観光小両会」での協議に応じるか
過去、両岸(中台)は双方の政治的関係の特殊性を考慮し、互いの主権を承認していない状況下で政府機関同士の直接的な往来を避けるため、半官半民の民間機関を実務的課題についての協議窓口として活用してきた。これが、台湾側の窓口機関「海峡交流基金会(海基会)」と中国側の「海峡両岸関係協会(海協会)」設立の経緯だ。観光分野においても、中台双方には台湾の「台湾海峡両岸観光旅遊協会(台旅会)」と中国の「海峡両岸旅遊交流協会(海旅会)」という「観光小両会」と呼ばれる協議プラットフォームが存在する。同プラットフォームは、中台間の旅客往来、旅行の安全性、品質維持、緊急事態への対応など、公権力が関わる協議を担っている。
黄氏は、中国人観光客の台湾訪問について「台湾側が求める唯一の条件は、まず『観光小両会』を通じて協議することだ」と述べ、現在は中国側にボールが渡っており、中国側がこの「小両会」というボールを受け取るかどうかが焦点になるとの見方を示した。ただ中国側は昨年、中国人観光客の往来は商業活動に属し、政治的協議には該当しないため、政治的前提を設ける必要はないとの立場を表明している。「中国側が引き続きこの見解を堅持するのであれば、『小両会』を通じた対話を気にかける必要はなく、中国側に開放の意思さえあれば、中国人観光客の台湾訪問問題は間違いなく解決へと向かうことになる」と黄氏は指摘した。
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