「平和を望むなら戦に備えよ」 バローゾ元欧州委員長、欧州の防衛自立を訴え

2026-05-12 12:27
2026年5月6日、「風傳媒」の単独インタビューに応じる元欧州委員会委員長のジョゼ・マヌエル・バローゾ氏。(写真/劉偉宏撮影)
2026年5月6日、「風傳媒」の単独インタビューに応じる元欧州委員会委員長のジョゼ・マヌエル・バローゾ氏。(写真/劉偉宏撮影)

欧州委員会(EC)の元委員長であるジョゼ・マヌエル・バローゾ氏は、開戦から4年が経過したロシア・ウクライナ戦争は欧州にとって強烈な警鐘となったと指摘し、「欧州は地政学的な『青少年期』が長すぎた。今こそ大人になるべきだ」と明言した。

バローゾ氏は、古代ローマの学者ウェゲティウスの著書『軍事論De re militari』にあるラテン語の名言「平和を望むなら、戦への備えをSi vis pacem, para bellum」を引用。欧州連合(EU)は歴史上最も成功した経済統合を成し遂げたが、これからは集団的なハードパワー、すなわち国防力を構築しなければならないとの見解を示した。

同氏は、北大西洋条約機構(NATO)の「欧州化」を推進すべきだと呼びかけている。つまり、米国の軍事力のみに欧州防衛を依存するのではなく、欧州諸国が自らその責任を負うべきだという。その手段の一つが昨年のNATO首脳会議での結論であり、NATO加盟国は2035年までに全体の国防費を国内総生産(GDP)比5%に引き上げる必要があるとしている。

バローゾ氏が初訪台、元ポルトガル首相およびGAVIアライアンス理事会議長を歴任

現在70歳のバローゾ氏は、2004年から2014年まで欧州委員会の委員長を務めた。在任中、EU加盟国は15カ国から28カ国(英国の離脱により現在は27カ国)へ拡大し、リスボン条約の締結を実現させたほか、2008年の世界金融危機および欧州債務危機においてEUの対応を主導した。

欧州委員会入りする前、バローゾ氏はポルトガルの首相を歴任。ポルトガル政府で12年間要職を務め、外相や外務・協力担当国務長官、内務担当国務長官などを歴任した。

台湾との関連で言えば、同氏は2021年から2025年までGAVIアライアンス世界ワクチン免疫連合の理事会議長を務めていた。現在は、ポルトガル・米国開発財団(FLAD)会長、欧州・アフリカフォーラムEurAfrican Forum議長、さらにゴールドマン・サックス・インターナショナルの国際顧問委員会委員長を兼任している。

バローゾ氏は先週、初めて台湾を訪問し、国際シンクタンク「アジア太平洋レジリエンス・イノベーションセンター(CAPRI)」の年次国際フォーラムにおいて、「グローバルな協力ルールの再構築」をテーマに基調講演を行った。 (関連記事: 【欧州・インド太平洋間プロジェクト】北極圏の「防衛空白」を埋める NATOと同盟諸国、露中の脅威に対し防衛態勢を刷新へ 関連記事をもっと読む

20260506-前歐盟執委會主席暨前葡萄牙總理José Manuel Barroso於6日接受《風傳媒》專訪。(劉偉宏攝)
2026年5月6日、元欧州委員長および元ポルトガル首相のジョゼ・マヌエル・バローゾ氏が台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の単独インタビューに応じた。(写真/劉偉宏撮影)

平和促進を目的とするEUの制度設計、ロシア・ウクライナ戦争への備えは不足

​バローゾ氏は講演前に台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の単独インタビューに応じ、EU体制の成り立ちを振り返った。EUの基礎は、1951年にフランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの6カ国が設立した欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)にある。二度の世界大戦がいずれも欧州における極端なナショナリズムに起因し、未曾有の惨禍をもたらしたため、戦後の欧州各国は相互の経済体制を統合することで将来の戦争再発リスクを低減させようと構想したのである。

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