【欧州・インド太平洋間プロジェクト】北極圏の「防衛空白」を埋める NATOと同盟諸国、露中の脅威に対し防衛態勢を刷新へ
北極圏での露中協力に対し、日韓を含むNATOパートナー諸国は防衛態勢を刷新し、監視能力と相互運用性の強化を急ぐべきである。(写真/AP通信)
ウクライナ戦争が継続するなかでも、ロシアはバレンツ海からベーリング海峡に至る北極圏の開発を縮小させていない。むしろ、北極海航路を介したロシアと中国の軍事的・戦略的協力は、米国およびその同盟国にとって重大な「ハードパワーの脅威」となっている。
ハドソン研究所のシニアフェロー、リズロッテ・オドガード氏らによる最新のポリシーペーパーは、北極圏における防衛態勢のアップデートが、NATO加盟国および日本・韓国などのパートナー国の安全保障に不可欠であると提言した。
露中の戦略的統合と「側面攻撃」への懸念
報告書によると、ロシアは北極圏とバルト海地域の戦略的統合を進めており、ここに中国が「デュアルユース(軍民両用)」の役割で加担することで、米国の同盟体制に対する新たな側面攻撃の懸念が生じている。特にベーリング海および北太平洋での露中軍事協力の強化を受け、日本と韓国も北極圏への関心を高めざるを得ない状況にある。
現在、米国は北極圏全域に利害を有する唯一の国家であるが、広大かつ過酷な気象条件を持つ同地域において、米国とその同盟国は極地対応能力が不足している。米国の潜水艦部隊やミサイル防衛が中核を担うものの、米軍が世界各地で任務を抱えるなか、同盟諸国が米国に過度に依存せず、同等の防衛能力を提供することが急務となっている。
具体的な防衛力強化への提言
報告書は、情報収集・警戒監視・偵察(ISR)の空白を埋めるための具体的な対策として、以下の項目を挙げた。
- 早期警戒・迎撃能力の増強:グリーンランド東部における拠点の強化。
- 無人システムの配備:バレンツ海およびオホーツク海付近への導入。
- 対潜水艦能力(ASW)の構築:ロシアの潜水艦作戦のコストを上昇させるため、ノルウェー、英国、日本による連携が必要。
- 監視ネットワークの展開:カナダ、デンマーク、日本、韓国による水中センサーネットワークや耐氷哨戒艦艇の導入。
北極海から北太平洋までの「海上作戦統合」
さらに、北極海、バルト海、北太平洋の海上軍事作戦を統合し、相互運用性を高めることも不可欠である。バルト海ではフィンランドやスウェーデンが、北太平洋では日本、韓国、カナダが貢献することで、露中の共同作戦計画に対抗する狙いがある。また、韓国の造船インフラも、北極海航路沿いでの海洋状況把握(MDA)の改善に寄与すると期待されている。
本報告書は、自由な航行の権利を守り、露中による軍事的拡大を抑止するためには、北欧から北太平洋に至る広域な防衛協力の再構築が避けられないと結論付けている。
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