ロシアによるウクライナ侵攻から4年以上が経過し、米国やイスラエルがイランに対して軍事行動を起こすなど国際情勢の緊張が高まる中、米大統領トランプ氏と中国国家主席・習近平氏による首脳会談が再び開催される見通しだ。こうした動向が専門家や世論の関心を集める中、米政府の元国家安全保障担当高官は、トランプ氏の外交政策の基盤は「経済力」にあり、米国は中国を「敵」ではなく「競争相手」と見なしているとの見解を示した。
トランプ氏の主眼は経済力か
米政府の元ウクライナ・ロシア問題担当特使であるキース・ケロッグ氏は3月11日、日本のシンクタンク「言論NPO」が東京で開催した「東京会議2026」に登壇した。同氏は、トランプ氏の第2次政権について「政治経験が皆無だった第1次政権とは著しく異なるだろう。在任中に国政の経験を積み、退任後の4年間で自身の政策を再評価する時間があったためだ」と指摘した。
「言論NPO」が発表したプレスリリースによると、ケロッグ氏はこの経験を踏まえ、トランプ氏が第2次政権でより明確な戦略を打ち出すと予測している。さらに東京でのパネルディスカッションにおいて、同氏はトランプ氏の政治姿勢を「言行一致に向けて努力する人物」と表現。その最終的な目標は、困難な国際情勢を安定させ、国際政治における「ソフトランディング」を実現することにあると説明した。

外界の注目を集める米中首脳会談や中東情勢に関して、ケロッグ氏は1972年のリチャード・ニクソン元米大統領の訪中以来、米中関係は一定の発展を遂げてきたものの、「現在の両国関係は戦略的競争の段階にある」と強調した。また、近年深まる中国、ロシア、イラン、北朝鮮の連携について言及し、トランプ政権の最重要政策は「これらが結束して統一戦線を形成するのを許すのではなく、各国と個別に交渉すること」になるとの見方を示した。
この目標を達成するための手段について、ケロッグ氏は、トランプ政権の主眼は軍事ではなく経済的なアプローチに置かれると説明した。現在、米政府は中国が世界経済に及ぼす影響を慎重に見極め、地域の同盟国と連携して市場を保護する必要がある。トランプ第2次政権の基本戦略は「既存の同盟関係を基盤とし、経済面で中国と競争できる体制を段階的に構築することだ」と同氏は強調した。
一例として、外国の首脳がホワイトハウスを訪問する際、トランプ氏は決まって「我が国との貿易収支はどのような状況か」と切り出すという。多くの外国首脳は、安全保障や軍事問題から会談が始まると予期しているため、この発言に驚きを隠せない。しかしケロッグ氏は、「トランプ大統領にとって、経済こそが最も重要な指標なのだ」と解説した。

トランプ氏は中国との軍事的衝突を望んでいないのか
現在81歳のケロッグ氏は、米陸軍を退役した元中将であり、外交官の経歴も持つ。トランプ第1次政権では、当時のマイク・ペンス(Mike Pence)副大統領の国家安全保障担当補佐官を務めたほか、国家安全保障会議(NSC)の事務局長兼首席補佐官を歴任した。2017年には、マイケル・フリン(Michael Flynn)元大統領補佐官(国家安全保障担当)の辞任を受け、同職を一時的に代行している。その後も、トランプ政権下でウクライナ・ロシア問題担当特使を歴任し、トランプ第2次政権にあたる2025年には、米政府のウクライナ問題担当特使に就任した。
ケロッグ氏は、トランプ政権は軍事的衝突を望んでいないと断言する。「トランプ大統領にとって、経済は国力の核心である」と同氏は指摘し、他国が軍事力を増強している現状にあっても、米国は主として経済力を通じて他国に対する影響力を行使していく姿勢を示した。一方で、台湾問題を含め、日本が太平洋地域において米国の核心的同盟国として極めて重要な役割を果たすべきだと改めて強調した。

ケロッグ氏は、中国やロシアとの関係についても言及した。ジョー・バイデン前米大統領の政権下では、ロシアのプーチン大統領との直接的な対話は極めて少なかったと指摘。しかし、トランプ氏は敵対関係にあっても対話を維持することが不可欠だと考えているという。
さらにケロッグ氏は、中国との対話の重要性も力説した。同氏は、トランプ氏が中国と何らかの合意に達することは「可能である」と分析。今後、核兵器問題を含む国際安全保障の枠組みを構築する際には、協議を通じて中国をその体制に組み込むべきだとの見解を示した。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
(関連記事:
イラン、UAEの石油施設を攻撃 1900発超のミサイル攻撃で物流混乱、TSMCなど半導体業界も警戒
|
関連記事をもっと読む
)


















































