【独自取材】香港FCCはなぜ「アジアのカサブランカ」と呼ばれるのか 世界的情報拠点の実像

香港外国記者クラブ(FCC)内のレストラン。壁には数多くの受賞写真作品が飾られている(杜宗熹撮影)
香港外国記者クラブ(FCC)内のレストラン。壁には数多くの受賞写真作品が飾られている(杜宗熹撮影)

米国のトランプ大統領は4月26日、「ホワイトハウス記者協会(White House Correspondents' Association)」の夕食会に出席した際、突如発生した銃撃事件に遭遇した。幸い負傷はなかったものの、この会を主催した同協会の会長が、中国大陸生まれの華人で、米CBS記者の江惟嘉(Weijia Jiang)氏だったことから、この出来事は台湾と中国大陸の双方で大きな関心を呼んだ。海外では、メディア関係者と政治家がどのような距離感で関係を築き、こうした場がいかに運営されているのかに改めて注目が集まっている。

これに対し、米ホワイトハウスとはまた異なる歴史と機能を持つのが、80年以上の歴史を誇り、現在も2000人を超える会員を擁する「香港外国記者クラブ(The Foreign Correspondents’ Club, Hong Kong、以下FCC)」である。中華・洋食の質の高い料理でも知られる一方、会員には多数のメディア関係者、外交官、さらには情報関係者まで含まれており、世界最大規模の外国記者クラブとして知られている。

台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』はこのほど香港FCCを独自に取材し、長年FCCと関わってきた香港のベテランジャーナリストにもインタビューを行った。アジアの「カサブランカ」とも呼ばれるこの特異な場所が、なぜ世界的な情報交換拠点となったのか。その実像を台湾の読者に向けて明らかにする。

ホワイトハウス記者協会の夕食会に出席したトランプ前米大統領(AP)
ホワイトハウス記者協会の夕食会に出席したトランプ前米大統領(AP)

世界のメディア人にとっての「聖地」

​FCCの起源は、第2次世界大戦中の1943年にさかのぼる。真珠湾攻撃後、中国戦線に関する報道需要が急増し、特に中華民国の同盟国であった英国や米国のメディアが大量の報道拠点を必要としたことから、外国人記者たちは戦時の陪都・重慶でFCCを設立した。抗日戦争終結後は、国民政府の移動に伴って南京、上海へと拠点を移したが、最終的には国共内戦で共産党が勝利したことを受けて香港へ移転し、世界最大規模の外国記者クラブへと発展した。

朝鮮戦争やベトナム戦争の時代、外国人記者が中国大陸や戦地に自由に入ることは難しかった。その中で、英国統治下にあった香港は国際メディアにとって重要なハブとなった。1982年に中環(セントラル)の現在地へ移る前には、FCCにもいわば「流浪の時代」があったが、1980年代以降は拠点が安定し、40年以上にわたり東西の接点として、また外国メディアと港英政府、さらに香港特区政府が「交渉する場」として機能してきた。
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かつて「香港記者協会」の主席、副主席を務め、FCCとも頻繁に協力してきたベテランジャーナリストの譚志強氏は、『風傳媒』の取材に対し、香港記者協会は資金力に乏しく、事務所も小規模なため、自身が主席を務めていた頃には大型イベントをFCCで開催したり、人権報道賞をはじめとする各種賞の授与をFCCと共同で行ったりすることが多かったと振り返る。

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