【独占インタビュー】李鴻源氏「中台関係は白黒では語れない」 台湾が直面する複雑な選択

2026-04-29 13:03
「鄭・習会談」の代表団メンバーの一人である、国民党シンクタンク(国家政策研究基金会)の李鴻源(り・こうげん)副会長。(資料写真/顔麟宇撮影)
「鄭・習会談」の代表団メンバーの一人である、国民党シンクタンク(国家政策研究基金会)の李鴻源(り・こうげん)副会長。(資料写真/顔麟宇撮影)

2026年、中台情勢は決定的な転換点を迎えた。「鄭・習会談」が幕を閉じ、「米中首脳会談」を間近に控えるなか、代表団の中核メンバーとして同行した元内政部長(内相)で現・国民党シンクタンク副会長の李鴻源(り・こうげん)教授が、現地での詳細な観察結果を持ち帰った。

李氏は台湾メディア『新新聞(ザ・ジャーナリスト)』の独占インタビューに応じ、今回の会談は単なる政治外交にとどまらず、「統治の思考」を巡る激しい衝突であったと強調した。専門のエンジニアであり、かつ熟練の官僚としての視点から、中国側の統治モデルの転換を読み解くとともに、現在の台湾が直面する「電力不足、人材不足、産業の断層」という課題に対し、深刻な警鐘を鳴らした。

人民大会堂東大庁にて、李氏はかつてない政治的雰囲気を感じ取ったという。習近平国家主席は代表団と対面した際、冒頭の言葉をあえて感傷的な「世間話」のようなトーンに設定した。李氏は、今回の会談は極めて精密に設計されたものであり、習氏が台湾内部で極めて敏感な「統一」という言葉を避け、より包括的な表現を選択したと分析している。

習主席の「リスペクト」という底線、統一に言及しない現実的な位置づけ

​李氏は、習氏の次のような言葉を引用した。

「我々は台湾の人々が我々とは異なる体制、制度を発現させ、独自の政治体制を築き上げてきたことを十分に理解している。だが同時に、我々が長年かけて成し遂げてきた進歩についても、尊重していただきたい」。

李氏はこの発言を「極めて配慮に満ち、熟考されたもの」と評価する。習氏がこのような行動に出たのは、議論の焦点がぼやけるのを防ぐためだというのが李氏の分析だ。ひとたび「統一」の議論に触れれば、国民党のあらゆる努力が色眼鏡で見られることを熟知しているため、あえて口にせず、「台湾独立への反対」と「外部勢力の不介入」という明確な一線を引くにとどめたのである。

2026年鄭習会、国民党の鄭麗文主席と中国の習近平国家主席が握手。(中央社)
2026年に行われた「鄭・習会談」にて、握手を交わす国民党の鄭麗文(てい・れいぶん)主席と中国の習近平国家主席。(中央社)

李氏はさらに、こうした態度の変化は、中国側が中台間の差異に現実的に向き合おうとしていることを意味すると指摘する。習氏は「我々はあなた方が我々と異なっていることを理解している。だから、あなた方も我々の成果を尊重してほしい」という姿勢を示したのだ。李氏は、これが中台関係を「○×問題」から「選択問題」へと転換させるための貴重な足がかりを提供したと考えており、もし台湾の与党がこれを契機に対話を行うことができれば、緊迫した情勢の緩和に資するだろうとの見解を示した。 (関連記事: 【独占インタビュー】習氏が「統一」を語らなかった理由 張五岳氏が読む頼政権と中台関係の行方 関連記事をもっと読む

「オランダの視点」と大国としての夢 小国はイデオロギーに縛られるべきではない

​中台関係と台湾の立ち位置という難題に対し、李氏は「オランダの視点」を提唱する。欧州の小国であるオランダの教育の核心は、若者たちを世界へと送り出すことにある。アフリカであれ中南米であれ、オランダの大学生は皆、国際的な視野を持ち、多言語を自在に操る。李氏は、オランダは国家としては小さいが、その若者たちは世界という舞台に立ち、堂々と「大国としての夢」を抱いていると指摘した。

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