日本で深刻化する人手不足は、もはや報告書の中だけの問題ではない。東京・羽田空港の整備エリアから広島の港湾にある造船所まで、その影響は幅広い業種に及んでいる。こうした中、自社に必要な人材を確保するため、競合関係にある日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)が異例の協力に踏み切った。両社はフィリピンに人材育成拠点を設け、技術を持つ外国人技能人材の確保を進める。
日本経済新聞社の英文媒体「Nikkei Asia」によると、JALとANAは人材関連企業のオノデラユーザーランと連携し、両社の整備部門で経験を積んだ社員をフィリピンの訓練センターに派遣している。現地で直接指導を行い、採用から育成までを一体化した仕組みを整える狙いだ。一定の技術水準を満たしたフィリピン人材を、日本政府の在留資格「特定技能」制度を通じて受け入れ、将来の地上整備要員として活用していく方針だという。
Maintenance workers trained in the Philippines are becoming essential for Japan's understaffed transportation and logistics industries.https://t.co/x8msmsWKihpic.twitter.com/mjnZLLpnWc
— Nikkei Asia (@NikkeiAsia)April 25, 2026
第1期の訓練生であるニール・バントトさんは、2025年初めにJALグループに正式に加わり、同年8月には羽田空港に配属された。現在は航空機の再塗装など基礎的な整備業務を担当しているが、日本語による職場環境に対応できることに加え、日本で長く働きたいという強い意欲も持っており、日本の航空業界が求める外国人材像の一例といえる。

JALは、かつて人工知能(AI)を活用した効率化にも取り組んだものの、それだけでは十分ではないと判断したという。「能力のある外国人材の受け入れこそが、事業を維持していく上で重要だ」としている。現在、JALグループではフィリピンやモンゴル出身の外国人整備人材およそ20人が日本国内で働いている。
造船や物流でも進む外国人材活用
外国人労働力の重要性は、2026年発足の高市早苗内閣の下で、より戦略的な課題として位置づけられた。政府の重点分野の一つとされた造船業は、「特定技能」制度の主要な受け入れ先の一つとなっている。2026年3月時点で、日本の造船業界が受け入れた外国人技能労働者は1万2000人を超え、全体の労働力の16%を占めている。
物流業界でも同様の動きが広がっている。東京都千代田区に本社を置くイズミ物流は現在、中国、ベトナム、ネパール出身の外国人トラックドライバー34人を雇用しており、外国人ドライバーの比率を現状の7.6%から2030年までに3分の1に引き上げる計画だ。
同社の構想は、単に現場の人手不足を補うことにとどまらない。日本で訓練を受けた外国人ドライバーが、将来アジア市場を広げる段階で母国に戻り、現地拠点の管理職や中核人材として活躍することも視野に入れている。
「特定技能」受け入れの壁 上限枠と免許切り替えの難関
もっとも、需要が高まり、企業側も投資を進める一方で、外国人材の受け入れにはなお複数の障害がある。最大の課題は、最終的な審査権限を持つ日本政府の制度運用だ。
たとえば、日本政府は4月初め、外食業における「特定技能」の新規申請受け付けを停止した。設定されていた受け入れ枠が上限に達したためで、これにより外食チェーン各社が対応に追われている。運輸・物流業界でも、同様の「枠の上限」がいずれ自分たちの業界にも及ぶのではないかとの不安が広がっている。

加えて、日本は国土が狭く人口密度も高いため、安全面への配慮から、外国人のトラック・バス運転手には厳しい運転免許の切り替え試験が求められている。日本国内で運転するにはこの試験を通過しなければならないが、2025年に試験基準がさらに厳しくなったことで、合格率は大きく低下した。これが物流業界にとって人材確保の大きな足かせとなっている。
日本が外国人労働力の確保に向けて一段と積極姿勢を強める中、同じく人手不足と技術継承の課題に直面する台湾にとっても、この動きは重い意味を持つ。東南アジアの技術人材が日本へ流れるのを防ぐためには、外国人労働者の受け入れ政策において、より魅力的なキャリア形成支援や定住に向けたインセンティブをどう打ち出していくかが問われている。
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編集:平松靖史 (関連記事: 外食業の特定技能1号、4月13日から新規受入れを事実上停止へ 上限5万人に到達見込み | 関連記事をもっと読む )


















































