小笠原村長、南鳥島での「核のごみ」文献調査受け入れを表明 国主導の申し入れ受けは全国初

小笠原村長が南鳥島での核のごみ文献調査受け入れを表明、国主導の申し入れは全国初。(写真/日本記者クラブ提供)
小笠原村長が南鳥島での核のごみ文献調査受け入れを表明、国主導の申し入れは全国初。(写真/日本記者クラブ提供)

東京都小笠原村の渋谷正昭村長は2026年4月24日、日本記者クラブで記者会見を開き、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定に向けた第1段階となる「文献調査」について、同村の南鳥島での実施を受け入れる方針を明らかにした。

文献調査の実施は、北海道の寿都町と神恵内村、佐賀県の玄海町に続いて全国で4例目となる。先行する3自治体はいずれも地元側からの応募や議会の請願を経て開始されたが、今回は国が主導して調査を申し入れた初めてのケースとなる。渋谷村長は、調査実施の判断は国が行うべきとした上で、国が実施を決定するのであれば村としてその判断を受け入れるとの回答を4月20日に資源エネルギー庁長官に提出。21日には赤澤亮正経済産業相と面会し、方針を確認した。

国に提示した「5つの要望事項」と背景

渋谷村長は会見で、2023年11月の打診から今回の回答に至るまでの経緯を説明した。今年3月3日に正式な申し入れを受けた後、村民への説明会を開催。賛否両論の意見が寄せられる中、渋谷村長は判断を国に委ねる一方で、村民の意見を集約した以下の「5つの要望事項」を国に提示した。

  1. 研究開発の推進:放射性廃棄物の有害度低減や減量化に向けた研究開発を着実に進めること。
  2. 調査地域の拡大:文献調査の実施地域をさらに拡大し、複数箇所で比較検討すること。
  3. 村民の理解促進:専門家や技術者を招聘し、村民の理解を深めるための啓発活動を行うこと。
  4. 風評被害の防止:南鳥島が有人島の父島・母島から約1200キロ離れている事実を周知し、風評被害を防止すること。
  5. 処分地決定との分離:今回の調査受け入れが、そのまま最終処分地の選定に直結するものではないと確約すること。

これらに対し、国側からは「すべて約束する」との回答を得たという。

次段階への慎重な姿勢

渋谷村長は、次の段階である「概要調査」へ進むかどうかの意見表明については、他の自治体への新たな申し入れがなされない限りは行わない姿勢を強調。今回の決断が小笠原諸島全体の将来に与える影響を考慮しつつ、国のエネルギー政策に協力する形となった。

最大20億円の交付金、受け取り判断は「議論のプロセス」を経て

文献調査の受け入れに伴い、最大20億円が支払われる「電源立地地域対策交付金」の扱いについて、渋谷村長は現時点で受け取るか否かの判断はしていないと述べた。村民や村議会の間でも受け取りの是非や具体的な使途について意見が分かれている。そのため、6月に予定されている村議会などを通じて、交付金の扱いに関する議論のプロセスを今後組み立てていく考えを示した。

安全保障とレアアース開発、高まる南鳥島の重要性

​会見では、南鳥島を取り巻く安全保障環境やその他の開発についても言及された。渋谷村長は同日午前に防衛省を訪問したことを明かし、太平洋地域における中国軍の活動活発化に伴い、南鳥島でのミサイル発射訓練を含む防衛施設の整備構想が進んでいることを説明した。

さらに、同島周辺で進むレアアース(希土類)開発においても、海底から引き上げた泥から不要な水分や不純物を排除するための重要な拠点としての役割を強調。小さな島でありながら、日本の国防と経済安全保障の両面で重要性が急激に高まっているとの見解を述べた。

「核のごみ」問題を日本全体の「自分事」に

最後に渋谷村長は、最終処分場の問題は「日本全体で考えるべき課題である」と強く訴えた。小笠原村の電力は主にディーゼル発電や太陽光発電に依存しているものの、日本社会全体が電気の恩恵を享受しており、現在の電力を賄う上で原子力発電の存在を完全に切り離すことはできないと指摘した。

その上で、今回の小笠原村への申し入れや自身の決断が広く報道されることで、「一人でも多くの国民がこの問題を『自分事』として捉え、議論を深めるきっかけになることを期待している」と語り、会見を締めくくった。

編集:小田菜々香

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