トップ ニュース 【独占インタビュー】MBAに満足できなければ返金?日本最大ビジネススクール・グロービス台湾進出 創業者・堀義人氏が語る採用される理由
【独占インタビュー】MBAに満足できなければ返金?日本最大ビジネススクール・グロービス台湾進出 創業者・堀義人氏が語る採用される理由 2026年4月23日、風傳媒の単独インタビューに応じる日本最大のビジネススクール、グロービス経営大学院の堀義人創設者。(柯承惠撮影)
日本最大のビジネススクールであるグロービス経営大学院が、年内にも台湾・台北に拠点を新設することが明らかになった。同大学院の創設者で学長の堀義人氏が「風傳媒」の単独インタビューに応じ、アジアでの展開を加速させる方針を示した。背景には、米国でトランプ前大統領の政権復帰により移民政策の厳格化が見込まれる中、アジアのビジネスパーソンが日本での学びに高い関心を寄せることへの期待がある。
これまで、海外でのMBA(経営学修士)取得を目指す人々にとって、米国のハーバード大学やペンシルベニア大学ウォートン校、スタンフォード大学などの著名なビジネススクールが主な選択肢となっていた。欧州のトップ校を志向する層も一定数存在する。
こうした中、日本国内で最多のMBA学生数を抱えるグロービスは、シンガポールやバンコク、マニラ、上海に続くアジア拠点として台湾に進出する。現地のプロフェッショナルや企業幹部を対象に、最終的に日本での1年制全日制MBAプログラムへ誘導し、正式なMBA学位を取得してもらうことを目指している。
大企業から独立、ハーバードMBAの経験を日本へ 各国のMBAプログラムは通常、既存の大学の商学部や経営大学院に付随して設置されている。しかし、グロービスが特異なのは、創設者の堀氏が学者ではなく、純粋な起業家である点だ。
4月23日、台湾で記者会見するグロービス経営大学院創設者の堀義人学長(柯承惠撮影) 現在64歳の堀氏は、グロービス経営大学院の学長を務める傍ら、ベンチャーキャピタル「グロービス・キャピタル・パートナーズ」の設立者、「日本版ダボス会議」と呼ばれるG1インスティテュートの代表、さらには茨城放送(LuckyFM)のオーナーなど、複数の顔を持つ。
京都大学で工学を学んだ後、大手商社の住友商事に入社。1989年に社費で米ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)へ留学し、2年間でMBAを取得したことが大きな転機となった。HBSのケーススタディ(事例研究)手法や、失敗を恐れず革新的な思考を奨励する校風は、当時の日本の社会や企業文化とは大きく異なっていたという。
帰国後、堀氏は「日本にも優秀な人材は多いが、高額な費用をかけてHBSで学ぶ機会を得られる人はごく一部だ。2年間仕事を離れることが難しい日本の社会人に、同様の学びの場を提供できないか」と考えた。
1992年、29歳で大企業を退職し、資本金80万日円で起業。東京都渋谷区の小さなアパートの一室で、わずか16人の受講生を集めてマーケティング講座をスタートさせた。その後、企業向けのビジネス研修や遠隔教育によるケーススタディを日本でいち早く導入し、事業を拡大していった。
グロービス経営大学院のグローバル拠点展開のイメージ図(劉煥彦撮影)
大学院設立から20年で学生数は20倍に 2006年に年間約60人の学生でスタートした同大学院は、現在では年間約1200人を受け入れる規模に成長し、「20年で20倍」の拡大を遂げた。堀氏によれば、この数字は2年制全日制、英語MBA、オンラインMBA、パートタイムMBAの合計であり、早稲田大学や慶應義塾大学、一橋大学などの主要なビジネススクールの学生数を上回るという。堀氏は今後、「30年で30倍、40年で40倍」への成長を目指すと意欲を示した。
堀氏が語るグロービスのMBAプログラムの特徴は以下の通りである。
第一に「MBAの民主化」 1992年当時、日本のMBAプログラムの多くは2年制の全日制だった。キャリアを中断できない社会人にとって受講は困難だったため、グロービスは1年制の全日制に加え、平日夜間や週末を利用するパートタイムMBA、オンラインMBAを展開した。
さらに、1科目(12週間)から受講でき、修了後に本プログラムの単位として認定される「プレMBA(単科生制度)」も導入。オンラインや東京校舎での受講を通じて、学習体験の提供とマーケティングの両立を図っている。
第二に「実務重視とリーダー育成」 理論偏重になりがちな従来のMBAとは一線を画し、グロービスでは実務経験が豊富なビジネスパーソンを講師に起用している。単なる経営管理者ではなく、次世代のリーダーを育成することに主眼を置いている。
4月23日、台湾で記者会見するグロービス経営大学院創設者の堀義人学長(柯承惠撮影)
第三に「返金保証制度」 受講生の満足度を重視し、毎回の授業後にアンケートを実施。一定の基準を満たさない場合は講師と面談して改善を促すなど、厳格な教員評価制度を設けている。満足できない場合は返金に応じる仕組みもあるが、英語MBAプログラム責任者の広瀬聡氏によると、過去20年間で返金を申請した割合は「極めて低い」という。
グロービスは今年後半に台北拠点を新設し、夏には講師を派遣してマーケティング講座を開講する予定だ。これを足がかりに台湾でのプレMBA講座を拡充し、現地の社会人が東京での1年制MBAを目指す流れを作るとともに、台湾の法人研修市場も開拓していく方針である。
米国の移民政策と台湾人の訪日増が追い風に 大学院設立から20年の節目に台湾へ進出する理由について、堀氏は主に2つの要因を挙げた。
一つはグローバルな政治経済環境の変化だ。米国でトランプ政権が再び移民政策を厳格化し、留学生へのビザ発給が制限される懸念がある。一方、欧州は経済成長の停滞に直面しており、留学生誘致において不利な状況にある。「これが日本やアジアにおけるビジネス教育のチャンスになる」と堀氏は指摘する。
もう一つは、日台間の緊密な経済関係と民間交流の深さである。台湾から日本への旅行者は年々増加しており、これがグロービスの台湾展開を後押ししている。
「過去15年間で、訪日外国人数は15倍に成長した。この論理で言えば、日本でMBAを取得したいと考える人も増えるはずだ。台湾からは毎年500万から600万人が日本を訪れており、これは人口の約4人に1人が日本へ行っている計算になる」と堀氏は語る。
さらに「日本でMBAを取得し、刺激的な大都市である東京で学び、卒業後には日本で就職する可能性もある。これは非常に素晴らしい機会ではないか」と述べ、台湾市場での展開に自信を見せた。
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