【舞台裏】鄭麗文氏の台頭で国民党に異変 盧秀燕氏の「2028年総統選」に暗雲か

「鄭・習会談」を経て求心力を高める鄭麗文氏(左から2人目)。2028年総統選を見据える盧秀燕・台中市長(右)の動向にも影響を及ぼしている。(資料写真/国民党台中市党部提供)
「鄭・習会談」を経て求心力を高める鄭麗文氏(左から2人目)。2028年総統選を見据える盧秀燕・台中市長(右)の動向にも影響を及ぼしている。(資料写真/国民党台中市党部提供)

4月10日、台湾の最大野党・国民党の鄭麗文(てい・れいぶん)主席は北京で共産党の習近平総書記との「鄭・習会談」に臨んだ。中国側による異例の厚遇を受け、会談は極めて円滑に進展。帰国日の12日には、中国側が「対台湾優遇10項目」という「手土産」を用意したことで、6日間にわたる訪中日程は成功裏に幕を閉じた。

この会談の成功は、当初「対中接近が選挙戦に悪影響を及ぼすのではないか」と戦々恐々としていた国民党の各自治体参選人たちを大いに安堵させた。しかし、より注目すべきは、鄭氏の党内における存在感が一夜にして急上昇したことだ。これが、2028年の総統選を見据える台中市長・盧秀燕(ろ・しゅうえん)氏の前途に、負の変数として影を落とし始めている。

「盤石」に見えた盧秀燕氏の立ち位置

​表面上、盧氏の政治的威信は依然として高水準を維持している。3月に米国の主要都市を訪問し、米政府高官やシンクタンクの研究者と意見交換を行った際も、その外交手腕は高く評価された。最新の世論調査(美麗島電子報)による政治家好感度ランキングでも、台北市長の蒋万安(しょう・ばんあん)氏に次ぐ第2位にランクインしている。

盧氏の陣営も、これまでの展開を楽観視していた。今年2月から軍事調達案に対して明確なスタンスを示し、訪米でも市政の枠を超えて国政レベルの課題に広く言及したことが、総統選に向けた「最初の一手」として好意的な反応を得ていると捉えていたからだ。

党内で最も人気が高い蒋万安氏が台北市長として再選されたとしても、彼が「任期途中の出馬」という批判のリスクを冒して総統選に打って出る可能性は低い。そのため、盧氏が依然として国民党の「ベストな選択肢」であり続けるという見方が支配的であった。しかし、4月の「鄭・習会談」を経て、国民党内部の空気は一変したのである。

20260410-台北市長蔣萬安出席台北市議會備詢。(蔡親傑攝)
支持が急上昇する蔣萬安・台北市長。政治家好感度ランキングでは盧秀燕氏がこれに続く。(資料写真/蔡親傑撮影)

盧秀燕氏の総統選への道に広がる懐疑論、党内各派閥の冷ややかな視線

​世論調査の数字は決して悪くないものの、国民党内部の各勢力による盧秀燕氏への評価は日増しに厳しさを増している。その「失望感」は、彼女が党主席選への不出馬を表明し、党内の反発を招いた2025年9月当時よりも深刻なレベルに達しているという。

かつて盧氏を支持していた国民党の重鎮は、当時の状況を次のように振り返る。「当時、盧氏は『中部台湾の現有勢力を守り抜き、さらに地盤が強固な北台湾を固めれば、2028年の総統選は盤石だ』という理由で主席選への出馬を固辭した。党内には彼女の『逃げ腰』な姿勢に失望する声も多かったが、最終的な勝利(総統選)という大局を見据え、その決定を渋々ながらも尊重した経緯がある」
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「泥をかぶらない」姿勢が招いた怒りと反発

​問題の本質は、盧氏が自ら出馬しなかったことだけではない。自身の代理人となる候補者を明確に立てることすら拒み、「我関せず」という「泥をかぶらない」の姿勢を貫いたことにある。その結果、親中色の強い鄭麗文(てい・れいぶん)氏の当選を許すこととなり、これが支持者たちの失望を「怒り」へと変質させた。

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