国民党・鄭麗文主席が訪中、習近平氏と会談へ 国民党の両岸政策と同行メンバーを解説

2026-04-10 11:33
台湾の野党・国民党の鄭麗文主席率いる訪問団が中国を訪問、2026年4月8日に南京の「中山陵」を訪れ、孫文に哀悼の意を捧げた。(写真/楊騰凱撮影)
台湾の野党・国民党の鄭麗文主席率いる訪問団が中国を訪問、2026年4月8日に南京の「中山陵」を訪れ、孫文に哀悼の意を捧げた。(写真/楊騰凱撮影)

台湾の最大野党・国民党の鄭麗文(てい・れいぶん)主席は4月7日、6日間の日程で中国を訪問する「2026年平和への旅」に出発した。滞在中の10日には、習近平国家主席との会談が予定されている。鄭氏は出発に際し、「国際情勢が不安定で戦火が広がる中、台湾海峡は世界で最も危険な場所の一つと見なされている。そのため、平和への信念を抱いて台北を出発する」と語った。

しかし、今回の訪中および習氏との会談を通じて、何らかの合意や約束がなされるのか、鄭氏が掲げる「平和のビジョン」や交流促進が実を結ぶかは、依然として不透明な状況だ。支持層が「中台の平和共存に向けた大きな一歩」と評価する一方で、反対派は「国を売る行為」であると激しく批判している。

また、台湾の対中政策を担う大陸委員会の邱垂正(きゅう・すいせい)主任委員は、鄭氏に対し、中華民国の生存空間を否定する「一つの中国」という枠組みの罠(わな)を断固として拒絶するよう要求。北京当局による「中華民国の消滅」を図るナラティブ(政治的主張)に同調せず、中国共産党に協力して台湾に不利益な誤ったメッセージを国際社会に発信しないよう強く呼びかけた。

本稿では、鄭麗文氏とはどのような人物なのか、過去の中台関係に対する立場、そして今回の訪中団に同行している主要メンバーについて解説する。

中国国民党主席の鄭麗文氏(左)は4月7日、訪問団を率いて「2026平和の旅」のため中国大陸を訪問した。中国共産党中央台湾工作弁公室主任の宋濤氏(右)は同日夜、南京東郊国賓館の「和平庁」で歓迎晩餐会を主催した。(楊騰凱撮影)
中国国民党主席の鄭麗文氏(左)は4月7日、訪問団を率いて「2026平和の旅」のため中国大陸を訪問した。中国共産党中央台湾工作弁公室主任の宋濤氏(右)は同日夜、南京東郊国賓館の「和平庁」で歓迎晩餐会を主催した。(写真/楊騰凱撮影)

鄭麗文氏とは何者か?

​現在56歳の鄭氏は、2025年の国民党主席選挙においてダークホースとして郝龍斌(かく・りゅうひん)氏を破り当選。同党で2人目の女性主席となった。また、民進党出身者として初めて国民党主席に就任した「史上初の経歴を持つ党首」でもある(国民党初の女性主席は洪秀柱氏)。

外省人家庭の出身、かつては「台湾独立」を叫び民進党へ

​台湾南部の雲林県で生まれ、台南市で育った鄭氏は「外省人(戦後、中国大陸から渡台した人々)二世」である。父は中国雲南省から台湾へ渡った元兵士で、母は本省人である。台湾大学在学中、台湾の民主化運動が激化する中で学生運動に身を投じ、民主化の重要な転換点となった「野百合学生運動」にも参加した。

1988年の「520農民運動」では演説を行い、「国民党は最も憎むべき統治者だ」と糾弾。「台湾建国」を叫んで国民党の暴政を覆すよう群衆に呼びかけた。その後、民進党に入党し、1996年には同党公認で第三回国民大會代表に当選。民進党内では青年発展部副主任や行政院(内閣)報道官などの要職を歴任した。 (関連記事: 【10年ぶりの国共トップ会談】習近平氏は「統一」に直接言及せず、鄭麗文氏は「運命共同体」提唱 関連記事をもっと読む

理念の相違から民進党を離党、国民党へ転身

​2000年以降、鄭氏は李登輝(り・とうき)氏の「二国論」に対する民進党の見解に異を唱え、陳水扁(ちん・すいへん)氏率いる民進党の理念との乖離が鮮明になると、メディアを通じて公然と民進党を批判するようになった。2002年、同党の涂醒哲氏(当時・衛生署長)によるセクハラ疑惑(後に誤報と判明)を巡る議論で党員権停止処分を受け、自ら離党した。

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