米国のドナルド・トランプ氏が5月中旬に中国を訪問し、習近平氏と新たな「米中首脳会談」を行うと確認される中、その前段として注目される動きが浮上している。
トランプ氏の有力な盟友とされる米共和党のスティーブ・デインズ氏が、来週にも中国を訪問する見通しだ。デインズ氏はトランプ氏との関係が近く、通商政策や対中政策でも一定の影響力を持つ人物とされており、今回の訪中は首脳会談に向けた「探り役(先遣)」との見方が広がっている。
今回の訪問は単なる儀礼的なものにとどまらず、関税、先端技術、安全保障、さらには地政学をめぐる米中間の駆け引きが水面下で進む、いわば「前哨戦」としての意味合いが強いとみられる。 (関連記事: 【揭仲コラム】中国が台湾・賴総統の外遊を阻止する思惑 | 関連記事をもっと読む )
日程再調整と訪問の狙い
トランプ氏の訪中は当初、3月末から4月上旬に予定されていたが、イラン情勢など中東の緊張激化を受け、危機対応を優先するため延期されていた。その後、米ホワイトハウスは5月14日から15日にかけての訪中日程を確定した。トランプ氏の中国訪問は、1期目の2017年以来となる。
米政権にとって今回の訪問は、単なる外交行事にとどまらず、今後の米中関係の枠組みを再調整する狙いがある。
先の釜山での米中首脳会談以降、両国は高官レベルの対話を維持しているものの、貿易摩擦やハイテク規制、台湾海峡や南シナ海を巡る問題で緊張が続いている。中国側は「米国第一」を掲げるトランプ氏の取引重視の外交姿勢に対し、警戒を維持している。

なぜデインズ氏は「様子見役」か
国務長官や大統領補佐官(国家安全保障担当)に先立ち、デインズ氏が中国を訪問することには、米側の意図がうかがえる。モンタナ州選出の同氏は、議会におけるトランプ氏の強力な支持者の一人だ。
実業家時代に中国駐在経験を持つ同氏は、中国の製造業や政財界の事情に明るい。上院では対中強硬策を支持する一方、農業輸出やサプライチェーンの安定化など、実務的な対話の必要性も主張してきた。
デインズ氏の起用は、対中強硬派でありながら対話が可能という同氏の立場を活かし、米中関係の安定化に向けたシグナルを送る狙いがあるとみられる。また、米国務省高官が直接動くことによる政治的機微を避ける思惑もあると指摘されている。

焦点は米側の要求内容
トランプ氏は最近、中国と良好な関係にあると強調する一方で、高関税政策やハイテク規制を維持している。中国側は、今回の首脳会談で米国が中東情勢での協力、インフレ緩和に向けた貿易面での譲歩、あるいは台湾問題での一時的な安定など、何を「取引」の材料として求めてくるのかを見極めようとしている。
景気の下押し圧力に直面する中国にとって、現在の最大の目標は対米関係の劇的な改善ではなく、関係のコントロール不能な悪化を防ぐことにある。全面的な対立を避け、米国と「管理された競争」を維持することが現実的な利益に合致するとの判断が働いている。
このため、中国側は首脳会談の開催に前向きな姿勢を示しているものの、半導体規制の解除や台湾問題などにおいて実質的な譲歩をする可能性は低い。中国側は会談を通じ、米国による一方的な要求の受け入れではなく、新たな危機管理体制の構築を目指す構えだ。
事前協議が会談の成否を左右
首脳会談の成否は、事前の調整が大きく影響する。デインズ氏の訪中は、中国側の対話への意欲を確認する役割を担う一方、中国側にとっても米側の真意を探る機会となる。
事前の意思疎通が順調に進めば、5月の首脳会談が米中関係の段階的な緊張緩和につながる可能性がある。しかし、重要な議題で双方の主張が平行線をたどった場合、実質的な成果の乏しい儀礼的な訪問に終わる公算も大きい。
来週のデインズ氏の訪中は、5月の正式な首脳会談に向けた試金石として注目を集めている。
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編集:佐野華美














































